DJ TASAKAが盟友 KAGAMIに贈った曲“Gratitude”

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS Powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第4回目は、ヒップホップに傾倒しながらも、テクノとの融合的な独自のスタイルを確立し、短期間で国内テクノシーンのトップDJにまでのぼりつめたDJ TASAKAが登場! 精力的なソロ活動の展開する一方で、故・KAGAMIとのユニットDISCO TWINSとしての活動も著名で、邦ダンスミュージック界には欠かすことのできないキーマン。キャリアも十二分なDJ TASAKAの“アーティスト像の裏側”とは!?

CHOICE 1
ヒップホップとテクノとの融合スタイルで決定的なヒントになった曲
TYREE COOPER “TURN UP THE BASS”

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TURN UP THE BASS
TYREE COOPER

ジャンル: ダンス, ミュージック, エレクトロニック, ハウス

「中学2年生の頃にラジオで聴いた曲ですね。この頃は、ヒップホップとレアグルーヴとダンスホールレゲエ、ハウス、デトロイトテクノとかすべてのジャンルが同列で、ロックじゃない“かっこいい音楽”として紹介されていた。
そんなときにこの曲は、ヒップホップなのにテンポが早いし、ジャンルの折衷感がすごく刺さった」

TASAKAがルーツとしてあげてくれたのが、ヒップホップとハウスが融合したジャンル“ヒップハウス”のクラシックとして知られるタイリー・クーパーの“TURN UP THE BASS”。
ジャンルの細分化、カテゴライズの明確化が進むなかで、本来音楽はもっと自由なはずと気づかせてくれる妙を得た選曲である。

CHOICE 2
フェスでのプレイを想定して作った曲
DJ TASAKA “Gratitude”

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Gratitude
DJ TASAKA

ジャンル: エレクトロニック, ミュージック

「2010年の『WIRE』で初めてライブをやることになって、そのために作った新曲。
ピークタイムにみんなが盛り上がれるような曲を想定して作ったんだけど、相棒のKAGAMIがちょうど亡くなっちゃった時期でもあったから、彼への感謝を込めたタイトル“Gratitude=感謝”になっていたり、思い出深い曲ですね」

TASAKAがフェスのピークタイムを想定し、事実オーディエンスを大いに興奮させてきたこの“Gratitude”には盟友への“感謝”の気持ちが隠されていた! しかし、そんな楽曲もセンチメンタルにすることなく、アッパーな仕上がりにするところがTASAKAのDJたるゆえんであり、天国のKAGAMIも喜んでいるに違いない。

CHOICE 3
フェスに車で向かう道中にぴったりなナンバー
Public Enemy ” You’re Gonna Get Yours”

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You’re Gonna Get Yours
Public Enemy

ジャンル: ヒップホップ/ラップ, ミュージック, イースト・コースト・ ラップ, ハードコア・ラップ

「この曲は単純に車のことを歌っているんだよね。これからアクセルふかしてかっ飛ばそうぜ!ってテンションの上がる曲。でも、逆にシートベルトを締め直したくなるような気持ちもあるよね(笑)」

ヒップホップの歴史上最も重要な1枚とも言われるパブリック・エネミーの1stアルバム「YO! Bum Rush the Show」(1987年)に収録された彼らの代表曲。パブリック・エネミー初期の攻撃的なリリックとチャック・Dのラップが冴え渡る!

CHOICE 4
こんなフェスティバルがあったらいいな! どんなフェス?
Rockwell “Somebody’s Watching Me”

「ちょっと前、まだSNSが無かった時期は、みんなが情報を発信できなかったからフェスとかももっと自由が多かった気がする。今だとやり過ぎるとすぐにTwitterとかで発信されちゃうからね(笑)。」

文明の利器の発展ゆえに監視されちゃう……。そんな窮屈な思いは誰しもが感じたことがあるのでないだろうか。「隠れて悪いことをせよ!」と言っているわけではないが、誰もが“発信者”になれるがゆえの弊害があるのも事実。
そんな意味を込めてTASAKAが選んだこの曲は、邦題が“誰かが見ている”だからだそうです。

CHOICE 5
死ぬまでに一度はフェスで見てみたい/見てみたかったアーティスト・曲・シチュエーション
SYLVESTER “You Make Me Feel”

「ハーヴェイ・ミルクが初めてサンフランシスコ市議に当選したときの祝勝会でのシルヴェスターの“You Make Me Feel”を聴きたい」

ハーヴェイ・ミルク氏は、1977年に自身が同性愛者だと告白しながらも、サンフランシスコ市議に当選し、アメリカで初となる大都市での同性愛者の公職者となった人物。しかし、当選後1年も経たないうちに、前市議によって射殺されるという悲運にみまわれる。その後の裁判で犯人の刑期が短かったことに端を発して、ゲイ・コミュニティが暴動を起こすなど多くの余波が生まれた。ハーヴェイ・ミルクを題材とした舞台や映画も数多い。

CHOICE 6
フェスティバルでのBAD体験/GOOD体験
BAD体験:Dakar & Grinser “I Wanna Be Your Dog”(The Stoogesのカバー)
GOOD体験:Josh Wink “Everybody To The Sun”

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I Wanna Be Your Dog”(The Stoogesのカバー)
Dakar & Grinser

ジャンル: エレクトロニック, ミュージック, インダストリアル, ダンス

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Everybody To The Sun
Josh Wink

ジャンル: テックハウス

「とあるレイヴだったんだけど、天気が最悪で土砂降り……。で、お客さんは一人もいなくて。それはまだよかったんだけど……犬が二匹いたんだよね(笑)。
それが妙に寂しくて、忘れられない光景だなぁ。でも、犬は楽しそうだった(笑)。
で、GOOD体験は、その同じ日に、まだ知り合いじゃなかったブライアンが後ろから『大変だね~』って声かけてくれたこと(笑)。この人、優しい人なんだなって。
でも、ブライアンがDJをやる時間帯は晴れてた(笑)」

2つともに同日に起きたことなのだから、そのレイヴはTASAKAの長いキャリアのなかでも、もっとも印象的な1日だったのだろう。BAD体験の選曲の理由は、「犬だから」。ラジオでは語らなかったが、GOOD体験の選曲の理由は「止まない雨はない」といったところだろうか。

CHOICE 7
フェスの帰り道に聞きたい一曲
DJ TASAKA”ATTENDANCE”

「僕の場合、フェスの行きは大体自分で運転していることもあって、テンションの高い曲をかけるんだけど、帰りは家族やマネージャーに運転してもらって、助手席に座っている。だから、iPodをずっといじっていて、ドライバーの表情や気持ちを読みながら、選曲をしているんだよね。」

フェス中心の質問を用意した今回のラストを飾る曲は、DJ TASAKAが6年ぶりにリリースするニューアルバム「UpRight」より“Attendance”。アルバムでも終幕の役目を担うこの曲は、激しいビートや展開があるわけではなく、かと言って、ありがちなチルアウトでもない。“祭りのあと”と表現してしまうと寂しさがあるが、それよりも前向きに祭りの興奮や余韻をじんわりと持続させてくれる曲となっている。

TASAKAも出演した『フジロック 2015』の当日放送となった今回は、フェスにちなんだ質問が多くなった。しかし、TASAKAはその音楽造詣の深さによって、実にバラエティに富んだ選曲を楽しませてくれた。ジャンルも幅広く、そのエピソードに整合性のとれた曲をピックアップする知識には改めて驚かされる。“フェスのBAD体験”はエピソード自体が面白かったが、選曲も“I Wanna Be Your Dog”。洒落も抜群だ。

アーティストの裏側を探りだすこのコーナーだが、今回はDJ TASAKAの音楽知識をもっともっと披露してもらいたい! そんな気持ちにさせてくれる、さすがの選曲となった。

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