電子音楽家 渋谷慶一郎、さすがの説得力とアリアナ・グランデ!

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第8回目は、先鋭的な電子音楽家として知られる渋谷慶一郎。東京藝術大学卒業後、音楽レーベルATAKを設立し、実験的な音楽作品を多くリリース。テレビドラマ『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』の音楽を担当し、2009年にはピアノ作品を発表。さらに初音ミクによるオペラ作品など誰もが思いつかない音楽的手法を駆使し、世界的に高い評価を獲得。また音楽以外でも、デザイン、ネットワークテクノロジー、映像作品などあらゆる多様なメディアを使用したクリエイションを重ねてきた。今回、明かされる渋谷慶一郎のアーティスト像の裏側とは!?

CHOICE 1
活動の姿勢に共感/リスペクトできるアーティストの一曲
Tyondai Braxton“Gracka”

「バトルスの中心メンバーだったタイヨンダイ・ブラクストンのソロ。電子音楽とかノイズをやっている一方で、オーケストラとかピアノもやっているのが僕と少しバックグラウンドが似ているなって思った」

バトルスを生んだ鬼才、タイヨンダイ・ブラクストン。ソロとしても数々の問題作、衝撃作をリリースし続けてきた彼が、今年6年ぶりにリリースしたアルバム「HIVE1」。その先行トラックとして発表されたのが“Gracka”で、前作のオーケストラ作品から一転したミニマルな電子音楽作品となり大きな話題となった。
2人の音楽的志向が共通することは、誰も異論を唱えないだろう。

CHOICE 2
30年以上前に発表された好きな曲
Bob Marley“Could You Be Loved”

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Could You Be Loved
Bob Marley

ジャンル: レゲエ, ミュージック

「曲もいいし、歌もいいんだけど、ミックスのバランスが完璧なんだよね、ボブ・マーリーは。だから僕はライブ前のPAチェックに、ボブ・マーリーをかけることが多い。みんな怪訝な顔をするんだけど(笑)」

本コーナーでも過去に何人かのアーティストが名前を挙げたボブ・マーリー。ジャンルの異なるアーティスト、しかも質問内容が異なるにも関わらず、彼の名前が常に挙がるのは、ボブ・マーリーの偉大さを示す証左になるだろう。
特筆すべきは、渋谷慶一郎が彼の名前を挙げたのには技術的な理由が含まれるということ。思想や歌詞やメロディ以外の要素にも着目した。渋谷の着眼点もすごいが、ボブ・マーリーもやっぱりすごい。

CHOICE 3
時代に左右されない曲ってどんな曲? いい意味で時代を感じない曲
Robert Wyatt “At last I am Free”

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At last I am Free
Robert Wyatt

ジャンル: オルタナティブ, ミュージック, ロック, プログレロック / アートロック, アダルト・アルタナティブ

「音数やレイヤーが少ない曲の方が、時代に左右されない可能性は高い。この曲も自分でキーボードを弾いて歌うスタイルだから、本当に最小限の音で構成されている。実はカバーで、もともとはシックの曲なんだけど、ロバート・ワイアットの曲にしか聴こえない。ほのかな絶望感がすごく好き」

ロバート・ワイアットは、伝説的なプログレッシブ・ロック・バンド:ソフト・マシーンのオリジナル・メンバーとして知られる。“音数が少ない”方がいいという、音楽理論家らしい一面と、“ほのかな絶望感”という詩人的な一面。まさに渋谷慶一郎らしいセレクトだと言える。

CHOICE 4
難しいことは考えずに、普通にイイと思う曲
BANKS“BRAIN”

「代々木のミュージック・バーでかかっていて、いいな~って思った。もともと知っていた曲で、一緒にいた友達にバンクスの“BRAIN”って曲だよって教えたら、みんなその場でiTunesでダウンロードしたよ(笑)」

バンクスはアメリカの女性シンガーソングライターで、2013年にはBBCやiTunes、Spotifyなど数々のメディアによって“期待の新人”に選ばれた注目のアーティスト。2014年には『SUMMER SONIC』にも出演を果たし、今年も来日単独公演が実現。みなさんも聴いて、ビビッときたら、すぐ購入!

CHOICE 5
ヘッドホンで聴きたい曲
keiichiro Shibuya“ATAK010 Filmachine Phonics Track3”

「これは世界初のヘッドフォン専用CD。耳の中で縦に動いたりする、音の3Dと言えばいいのかな。僕のソロのセカンドアルバムで、ヘッドフォンで聴くと音が耳を遥かに超えて頭や身体の周りを動きまくるという音の運動も作曲したのね。Amazonでも売ってるからぜひ体験してほしい。」

ホール/クラブなどで聴きたい曲
UN.a“in many ways”

「ずっと僕のところにデモ音源を送ってきてくれていたアーティストなんだけど、最近出したアルバムの収録曲。ボーカルがすごくいい感じに♭してるんですよね。
会ったことなかったんだけど、この前僕のトークイベントに来てくれて話したらすごくシャイでほとんどコミュ障だった(笑)。絶対に目を見て話そうとしない。だから彼らのライブを観てみたいと思ったな(笑)」

“ヘッドホンで聴きたい曲”のセレクトは、これ以上ないピッタリの曲を、自身の作品群の中から挙げてもらった。他に類を見ない“ヘッドホン専用の楽曲”として制作されたこの作品。ぜひヘッドホンを用意して「耳の中で縦に動く」という音像を体感してほしい。
UN.aは電子音楽家の中村浩之とサックス奏者/ミキシングエンジニアの宇津木紘一によるユニット。生楽器と電子音楽の新しい融合を標榜し、2015年9月13日にファースト・アルバム「Intersecting」をリリース予定。

CHOICE 6
この曲を聴くと無条件に踊りたくなる曲
Ariana Grande“Hands On Me”

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Hands On Me
Ariana Grande

ジャンル: ポップ, ミュージック, ワールド, ロック, ダンス, R&B/ソウル, コンテンポラリー R&B

「好きなんですよ。かわいいし、歌うまいし。でも、アルバムの完成度がすごく高いよね」

渋谷慶一郎からまさかのアリアナ・グランデ! そのキュートな容姿からアイドル的な扱いを受けることも多いが、その歌唱力、パフォーマンスあってこその人気。
“Hands On Me”は、2014年リリースのセカンド・アルバム「My Everything」の収録曲で、ラッパーのエイサップ・ファーグをフィーチャーした楽曲。アリアナ・グランデのメロウなパートとエイサップ・ファーグの骨太なラップパートのコントラストが鮮やかで、エキゾチックな音階が自然と身体を動かしてくれる。

渋谷慶一郎の意外な一面を発見することができただろうか? アリアナ・グランデは誰しも意外だったであろうが、“時代に左右されない音楽”や“30年以上前の好きな曲”での、選曲そのものより、選曲理由が渋谷慶一郎らしく、その説得力に目から鱗が落ちる思いだ。
そんな彼の最新作はパリのシャトレ座でソロ公演を行ったライブ音源「ATAK022 Live in Paris」。超高音質SA-CDハイブリッドのフォーマットで聴くライブ音源は、臨場感抜群。渋谷慶一郎が取り組んできた最新の音楽スタイルを確認できる一枚だ。
音楽を少しだけ深く、別の角度から見つめることで、新たに見えるものがある。そんなことを発見できた回になったのではないだろうか。

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