Jazztronik 野崎良太。マイケル・ジャクソンに生まれたかった?

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第9回目は、Jazztronikの野崎良太が登場。これまでに葉加瀬太郎、Mondo Grosso、TRF、椎名林檎、今井美樹など数多くのトップアーティストとコラボレーションを重ね、ジャズ、ハウスを軸に多彩なサウンドで音楽シーンを彩ってきた彼のバックグラウンドとは!? ダンスミュージックはもちろん、ピアニスト、作曲家としての顔ももつ野崎良太の深くためになる“BEHIND THE MIX”をご堪能あれ!

CHOICE 1
ジャズを知ってもらうために聞いてもらいたい一曲
McCoy Tyner“Fly With The Wind”

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Fly With The Wind
McCoy Tyner

ジャンル: ジャズ, ミュージック, ハード・バップ

「“ジャズ”という言葉のなかに、細かいジャンルがあって、一体どれを選んでいいのか、非常に悩みました。選んだ曲は、僕が持っていた“ジャズ”というイメージをガラッと変えてくれた曲なんです。それまでは、ジャズはおじさんたちがお酒を飲みながら、ゆったりと聴くもんだと思っていたんです(笑)。でも、この曲を聴いたときに、弦楽器も入れていいんだとか、リズムも変則的でいいんだとか、僕が音楽でやりたいことが詰まっていたんです」

“ジャズ”となると、どこかアカデミックなイメージを持たれることが多く、それゆえにちょっとハードルが高く感じている方も多いはず。しかし、一言にジャズといっても、千差万別。もっとも“自由”な音楽がジャズとも言える。自分が感じたままに踊ったり、身体を揺らしたり……そんな経験を実は野崎良太もしていたという事実。誰もが通る最初の一歩。ここさえ踏み出せば、あなたもジャズの広い世界を楽しめるはずだ。

CHOICE 2
日本のジャズを知るならこの一曲
笠井紀美子“I thought it was you”

「これもすっごい悩みましたね(笑)。この曲を聴いてもらえればわかりますが、『これがジャズ!?』って思ってもらえる。バックの演奏が、ハービー・ハンコックだったり、第一線のアーティストばかり。でも、シンガーは笠井紀美子さん。日本人のシンガーが歌って、こんなにグルーヴィーでかっこいい曲ができるんだ!?って衝撃を受けました。オリジナル曲は、ハービー・ハンコックがボコーダーでボーカルを録っていて、これもかっこいいんです」

1970年代から本場アメリカで活動し、ハービー・ハンコックやビル・エヴァンスといったトップアーティストと共演を果たしてきた笠井紀美子。歌手活動からは1998年に引退してしまったとはいえ、ジャズ界の御大たちとセッションを繰り返してきた実績がいまだに語り継がれる日本人トップシンガー。その歌声は、現在もなお世界中のジャズファンの心を揺らし続けている。

CHOICE 3
ジャズトロック! ロックで好きな曲は?
The Rolling Stones“Miss You”

「初めてストーンズを聴いたとき、他のロックにはないグルーヴ感にやられてしまいました。この曲もアナログでクラブでかけたりします」

Jazztronikが選ぶロック。ジャンルを超えた楽曲を尋ねることは、アーティストの音楽造詣の深さを尋ねることに等しい。彼が選んだのは、誰もが知っている偉大なるバンド、ザ・ローリング・ストーンズ。理由は「ブルージーで、グルーヴィーだから」。アーティストに向けられるその独特な目線にこそJazztronikらしさを感じる。

CHOICE 4
テクノトロニック! テクノで好きな曲
電気グルーヴ“ガリガリ君”

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ガリガリ君
電気グルーヴ

ジャンル: エレクトロニック, ミュージック

「電気グルーヴがすごく好きなんです。僕は大学生のころにテクノDJをやっていたんですよ。さらにテクノバンドもやっていたりもしたんですけど、いつまにかJazztronikが始まってしまったんです(笑)。だから、時折ハウス~テクノセットをやったりするんですけど、お客さんが驚くこともあります」

野崎良太が“テクノ好き”というのは知る人ぞ知る事実。これまでにもクラブイベントでテクノセットを披露することがあり、テクノの知識も半端ではない。そしていざ、プレイリストの蓋を開いてみると電気グルーヴ。本格的なテクノとユニークさが融合した彼らの作品群のなかでも“ガリガリ君”をセレクトしたのが、野崎良太の音楽嗜好を感じることができて興味深い。

CHOICE 5
Jazztronikにとっての永遠の名曲。恋してるくらい好きな曲
BACH“ゴールドベルグ変奏曲のアリア”

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ゴールドベルグ変奏曲のアリア
BACH

ジャンル: クラシック, ミュージック

「クラシックはとっつきにくいイメージがあるかもしれませんが、1曲でもお気に入りを見つけることができれば、認識が変わると思います。作曲やピアノの勉強をしていたこともあって、徐々にバッハの偉大さに気付き始めたんです。いわば大昔に音楽の基礎を作ってしまった人。そこからハマって、色んな本を読んで、いまでも1日1回はバッハを弾くようにしているんですけど、深い」

バッハ! 8回目にして初クラシック曲という大きな衝撃だが、“永遠”という意味合いにおいて、これほど説得力のあるセレクトもないだろう。“主よ人の望みよ喜びよ”“G線上のアリア”“アヴェ・マリア”など、クラシックに馴染みのない人でも一度は耳にしたことがある名曲の数々を生み出したバッハ。目から鱗のセレクトである。

CHOICE 6
“カッコイイ”の定義とは?野崎が“カッコイイ”と思うアーティストの曲
Michael Jackson“off the wall”

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off the wall
Michael Jackson

ジャンル: ポップ, ミュージック, R&B/ソウル, コンテンポラリー R&B , クワイエット・ストーム, ソウル, ダンス, ディスコ, ファンク, ポップ / ロック

「“カッコイイ”アーティストはどんなアーティストだと思うかというと、“絶対に誰にも真似できないオリジナル性を持ったアーティスト”ですね。そういった意味では、マイケル・ジャクソン。選んだのは、なかなか日本ではかからない曲ではあるんですけど、マイケルはやっぱりかっこいい。こういう人に生まれたかったな~と思うこともあります(笑)」

“カッコイイ”の定義は人それぞれ。Jazztronikに“カッコイイ”アーティストは誰かと訊けば、おそらくジャズの名プレイヤーを挙げるだろうと想像していたが、これまた予想を超えるマイケル・ジャクソン。クラシック~ジャズ、テクノにまで精通している野崎良太にまで掛け値なしに“カッコイイ”と評されるマイケル・ジャクソンがより輝いてみえる。

CHOICE 7
この声が好き…!究極の歌声を感じる曲
Nat King Cole“smile”
Louis Armstrong“What a wonderful world”

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smile
Nat King Cole

ジャンル: ポップ, ミュージック, ジャズ, ヴォーカル・ジャズ, ヴォーカル, ヴォーカルポップ, トラディショナル・ポップ, イージーリスニング, スイング

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What a wonderful world
Louis Armstrong

ジャンル: ジャズ, ミュージック

「オリジナルはチャップリンの曲。ナット・キング・コールの声を聴くと、すごく温かい気持ちになる。ルイ・アームストロングの曲は、クラブでもラストにかけることが多いですね」

ラストのセレクトで、パブリックイメージのJazztronikに近い楽曲が出てきて、ちょっとホッとする。いままで良い意味で期待を裏切るセレクトが多かったからだ。
紛れも無い名曲である“Smile”と“What a Wonderful World”だが、ぜひその歌声に集中してリスニングをしてみてほしい。

Jazztronikというプロジェクト名ゆえ、“ジャズの人”といったイメージが強いが、彼のライブやDJセットに触れたことがある方々なら、驚きとともに“ニヤっとさせられる”選曲も多かったのではないだろうか。
しかし、“永遠の名曲”というお題は、ある意味音楽家にとっては最終目標とも言うべきものだが、そこでバッハを挙げたことには驚いた。音楽的造詣の深淵部分に、音楽家のみが理解できる“偉大さ”があるのだとわからせてくれた。言ってしまえば、“すごい人がすごいと言っているからすごい”という感覚に近いが、一流アーティストに、理由とともに曲をセレクトしてもらうとこれまでと違った視点が開けてくる。そう改めて、強く感じる回となった。

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