80KIDZの近くて遠い、2人の音楽趣向とは?

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第17回目のゲストは、00年代のエレクトロブームを牽引し、エレクトロ、ハードテクノ、ハウス、ロック、R&Bなど多彩なジャンルを咀嚼したハイブリッドなサウンドに、キャッチーなメロディラインなど、その独創性溢れるプロダクションが国内外から高い評価を獲得している80KIDZ。今回は、JUNとALIの2人が知られざる音楽嗜好をRDMSだけに披露してくれました!

CHOICE 1
相方の過去作品で好きな曲
ALIセレクト: Blur“Girls & Boys”
JUNセレクト: THEE MICHELLE GUN ELEPHANT“バードメン”

ALI: 中学生の頃に、この曲が収録されている「Parklife」というアルバムを買ったんです。それを聴いて、中学生ながらに「この音楽は最先端なんじゃね?」って感じましたね~。僕が住んでいた場所が田舎で、CDショップもあまりなかったので、洋楽の詳しい先輩にカセットテープで借りたりして、雑誌を読んだりして、音楽の知識を吸収してました。

JUN: 邦楽なら奥田民生さんとかTHE HIGH-LOWSが好きなロック少年でした。高校に入学してから、軽音部に入りました。最初はセックス・ピストルズのコピーをしていたんです。高校2年生の頃にTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの存在を知って、衝撃を受けましたね。

ロック~ダンスミュージックの垣根を超えて多彩なサウンドアプローチを見せてくれる80KIDZ。そのバックグラウンドは聞いてみれば納得のできる答えとなった。
ALIはブラーの名曲「Girls&Boys」をセレクト。いまではインターネットを通じて、簡単に曲を聴いたり、情報を入手することができるが、昔は違った。それだけに1枚の名盤、名曲を見つけた時の喜びは何倍も大きかった。同時に、ハズレを引いた時のショックもかなり大きかったわけだが。ALIが当時リリースされたばかりのブラーの新譜をゲットした感動は、非常に大きなものだったろう。しかも、現在でも聴き継がれている名曲となっているのだから、彼が「最先端!」と感じたのは、先見の明ありといったところか。
JUNが挙げたのは、チバユウスケが率いた伝説のバンド、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの6枚目のシングル「バードメン」(1997年)。無骨でありながらも、情景を想起させる卓越したリリックと超絶的な演奏で、邦ロックシーンに大きな足跡を残したバンドだ。80KIDZのサウンドに、国内外の伝説的バンドの影響があると思うと、さらに彼らの楽曲への興味が強くなる。

CHOICE 2
カッコいいおじさんの曲
JUNセレクト: Yellow Magic Orchestra“千のナイフ”
ALIセレクト: Air“All I Need”

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千のナイフ
Yellow Magic Orchestra

ジャンル: エレクトロニック, ミュージック, ポップ, オルタナティブ, ニューウェーブ, ロック, クラシック, Modern Era

JUN: YouTubeでライブ映像を何度も観たんですけど、すごくかっこいいですよね。もともと音楽の素養がすごい人たちが、当時斬新なシンセサウンドをやっているというのが、素晴らしい。自分のスタイルやこだわりがあって、好きなことをやっているおじさんってかっこいいですよね。

ALI: フランスのデュオですが、飾らないで自然体の音楽を表現しているのが、かっこいいですよね。若者にも同世代にも説教臭くない自然な説得力があるというか。

RDMSでは定番とも言える質問。やはり80KIDZの2人も“軸がぶれない”“独自のスタイルを保持している”アーティストをセレクト。ALIがセレクトしたエールは、エレクトロニカ色が強いドリームポップにも似たサウンドを特徴とするバンドで、ソフィア・コッポラ監督の『ヴァージン・スーサイズ』のサントラを担当するなど独自性の強いスタイルで高い人気を誇っている。JUNはY.M.O(原曲は坂本龍一)をセレクト。冒頭のボコーダーボイスは、坂本龍一による毛沢東の詩の朗読で、サイケデリックな雰囲気とともにスタートする。1978年の曲だが、いま聴いてもなんら斬新さを失わない名曲だ。

CHOICE 3
ハロウィンでかけたいヘンな曲
ALIセレクト: ZOMBY“SLIME”
JUN JDセレクト: Michael Jackson“Thriller(Louis La Roche Remix)”

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SLIME
ZOMBY

ジャンル: エレクトロニック, ミュージック, ロック

ALI: ゾンビーというアーティストの“スライム”って曲です(笑)。もうタイトルからして、ハロウィンっぽいんですよね。新曲なんですが、このタイミングでこのタイトルって完全に狙っているのかなって。僕の仮装は、年々ショボくなってきていますね。アイデアもなくなってきて、置きにいってるというか(笑) 今年のハロウィンもDJなので、「ゲゲゲの鬼太郎」の曲でもずっとかけようかな(笑)

JUN: オリジナルはハロウィンの定番曲「スリラー」ですが、バランス良くエレクトロサウンドにアレンジしてますよね。実際、毎年かけているかもしれません…。
僕はALIくんと比べると、かわいい系の仮装が多いかもしれません。この前はカボチャだったし(笑)

日本でもバレンタインより経済規模が大きくなったと言われるハロウィン。10月後半ともなれば、渋谷や六本木は仮装した人たちで溢れかえる。クラブシーンでも、1年で最も大きな盛り上がりを見せる期間であり、80KIDZも毎年ハロウィンを音楽で熱狂させてきた。ALIは、ゾンビなのかスライムなのかわからない洒落の効いた楽曲をセレクト。JUNは毎年自分がかけている楽曲を挙げてしまい、番組中、ALIに「定番過ぎる」と突っ込まれてしまった(笑)  でも、“スリラー”のこのリミックスは間違いなく、知っておいて損はなし!

CHOICE 4
いままでで一番難産だった80KIDZの曲
JUNセレクト: PUFFY“ウェディング・ベル(80KIDZ REMIX)”
ALIセレクト: 80KIDZ“VOICE”

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VOICE
80KIDZ

ジャンル: エレクトロニック, ミュージック, ダンス

JUN: もともとSUGARという80年代のコーラスグループの楽曲で、PUFFYがカバーした曲なんですが、歌詞や世界観がロマンチックで、80KIDZらしさを出すのが難しかったですね。ALIくんが頑張ってくれました(笑) この曲に限らず、リミックスをするときはできるだけ原曲の良さを活かしながらも、僕たちの色を取り入れるように意識しています。

ALI: 僕が曲作りをするときは、ライブやDJをやる際にこういう曲があったら、とか方向性を模索しながら進めることが多いです。自分たちに必要な武器や防具をデザインしているイメージなんですよね。僕が選んだ“VOICE”は、メンバーが脱退した直後の曲。周りの雑音も結構もあって、新しいことに挑戦する上で何度も作り直して、すごく大変だった思い出があります。

JUNはリミックス楽曲を、ALIはオリジナル楽曲をそれぞれ挙げてくれた。国内外のトップアーティストのリミックスを数多く手がけてきた80KIDZだが、PUFFYの楽曲はウェディングソング。彼らのリミックスワークのなかでも異色と言えるだろう。80KIDZのスタイルをどのように落としこむか、苦心したようだ。
また「VOICE」は、80KIDZが3人から現在の体制になった直後にリリースしたEPの表題曲。メンバー脱退後の周囲の雑音を黙らせる意味でも、プレッシャーが強かったというこの楽曲は、2人にとっても思い出深い1曲。ただ楽曲を聴く、というだけでなく、その楽曲の背景やアーティスト本人の心情を理解することで、また違った聴こえ方がしてくるはずだ。

00年代〜現在のクラブシーンを代表するアーティストである80KIDZ。結果的に2人の音楽志向や性格の違いが見えてくる回となった。これまでにもRDMSには、数々のユニット、グループが出演してきたが、まとっている空気はメンバー間に似たものを感じたものだ。しかし80KIDZのALIとJUNは、いい意味で2人が“違う”ということを受け入れ合い、しかも相互に補完している関係性なのではないかという印象を受けた。
どことなく緩く、心地よく脱力したトークと、彼らのアグレッシブな音楽性とのギャップも非常に面白く、より80KIDZに興味を惹かれた人も多いのではないだろうか。

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