フィメールDJとして屈指の人気を誇る DJ KYOKO

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第18回目のゲストは、年間120本以上の現場に立ち続け、屈指の人気を誇るフィメールDJの代表格、DJ KYOKO。2003年に本格的なDJキャリアをスタートさせると、そのキュートなルックスとは裏腹なパワフルなプレイで、00年代のエレクトロブームを牽引し、リリースしてきたMIX作品はすべてスマッシュヒットを記録。現在ではDJと並行して、ハードコアバンド:The Patのボーカルを務めるなど、さらに音楽活動の幅を広げている。今回は、そんなDJ KYOKOの知られざる音楽バックグラウンドに迫ってみよう!

CHOICE 1
時代を感じる曲【90年代】
Blur“Girls & Boys”

「私は今年で30歳なので、90年代は14歳まで。当時は、この曲もよくわからないまま、単純にかっこいいと思ってました。 90年代は、インターネットとかもなかったので、今と比べるとアルバムを1枚買うとよく聴きこんでいたと思います。小学生の頃は、パンクスに憧れていて、ダムドとかをジャケ買いしていました(笑)」

00年代の国内のエレクトロシーンを牽引したDJ KYOKO。彼女とともに同ブームを牽引し、かつ同世代でもある80KIDZの2人も、前回出演時にブラー「Girls & Boys」をセレクトしていた。それだけにただ単純にワールドワイドヒットした曲という以上に、同曲の革新性がご理解できるはずだ。 同世代のトップアーティストに衝撃を与えた「Girls & Boys」の偉大さ、先進性が感じられるエピソードとなった。

CHOICE 2
時代を感じる曲【00年代】
Daft Punk“Harder, Better, Faster, Stronger”
Pet Shop Boys“Home And Dry”

「00年代は、私にとって14~24歳。DJの仕事もプライベートでも、青春を謳歌しつつ自分の基礎を作っていった時期ですね。エレクトロブームもあって、私も他のDJもジャンルの縛りなく、かっこいい曲をプレイしていて、お客さんもそれについてきてくれましたよね」

この質問には2曲をセレクトしてくれた。2アーティストともに00年代以前より活躍し、音楽史にその名を刻む偉大なアーティストだが、ペット・ショップ・ボーイズの「Home And Dry」は2002年リリース。ダフト・パンクの「Harder, Better, Faster, Stronger」は2007年の作品。DJ KYOKOが“青春”と称した00年代は、日本でも世界でもジャンルレスな楽曲が入り乱れ、自由に音楽を楽しんだエレクトロブームがクラブシーンの潮流であった。 雰囲気が異なる2曲であるが、さらにロックあり、パンクあり、ハウスあり、ヒップホップありのなんでもござれのハイブリッドサウンドが“TOKYOエレクトロ”の真骨頂。DJ KYOKOはそのシーンのアイコンとして活躍していたわけだが、この後の質問でさらに彼女のバックグラウンドが浮き彫りになる!

CHOICE 3
“今”っぽさを感じる曲
Felix Jaehn“Ain’t Nobody (Love Me Better)ft. Jasmine Thompson”

「90年代っぽいんですけど、すごく今っぽくて、現場でもかけますし、自分でもよく聴きますね。 最近はDJをしていても、自信がなくなる夜が多いんですが…。でも、自分のやりたいことをなるべくやるように心がけています」

昨今人気のEDMシーンをとってみても、最近はロビン・シュルツやカイゴなどトロピカルかつチルの要素が含まれたサウンドが人気を博しているが、弱冠21歳のドイツ人プロデューサー:フェリックス・イエンもその1人。2014年のOMIの“Cheerleader”のリミックスがヨーロッパ各国のチャートで1位を獲得し、一躍注目を集めると、この“Ain’t Nobody(Love Me Better) ft. Jasmine Thompson”も大ヒット。原曲は、チャカ・カーンの代表曲“Ain’t Nobody”(1983年)で、見事に現代的にアップデートしている。

CHOICE 4
ロックを感じる曲
The Ramones“Do You Remember Rock’n Roll Radio”

itunes

Do You Remember Rock’n Roll Radio
The Ramones

ジャンル: パンク, ミュージック, オルタナティブ, ロック

「色々ありすぎて、すごく悩みました。でも、ラジオ番組ということもありまして、最終的に曲のタイトルで選びました。 ロックの定義はすごく難しいんですが、気持ちや生き方もあると思いますし、その時代時代で変化しているものだから、窮屈ではなくて“自由”なものかなって思います!」

もともとパンクスに憧れ、現在はハードコア・バンド:The Patのボーカルを務めるDJ KYOKOだけに、ロックの造詣もかなり深い。1曲に絞るのは相当難しかったようだが、ラジオ番組ということで、それにひっかけた楽曲をセレクトしてくれた。 ロックの定義については、音楽的構造ではなく、アティチュードの面で“自由”であることと説明してくれた。

CHOICE 5
カッコいいおじさんがやっている曲
LCD Soundsystem“Losing My Edge”

「ジェームス・マーフィーはまだ45歳くらいなんで、“おじさん”かどうか微妙なんですが(笑) 築き上げたものを貫き通している人もかっこいいですし、新しいものを取り入れているおじさんも好きです。でも、マイペースなおじさんが一番好きかも。私、おじさんが結構好きです!」

当番組のMC、RYUにとってもやはり気になることなのか、女性アーティストが出演すると、この恒例の質問には気合が入る。しかも、KYOKOに「おじさん、好きです!」などと言われるものだから、ラジオでは伝わりにくいが、にやっと笑った表情が印象的な場面。 選曲は、我が道を貫き通すレーベル:DFAの主宰者であるジェームス・マーフィーを挙げてくれた。DFAのカタログは、ザ・ラプチャー、フアン・マクリーンなど00年代のエレクトロブームで大きな人気を誇っており、このセレクトからもしっかりとDJ KYOKOのバックグラウンドを読み取ることができる。

CHOICE 6
カッコいい女の子がやっている曲
HOLE“Celebrity Skin”

「これもまた、コートニー・ラブを“女の子”と言っていいのか…(笑) 老若男女共通することですが、どういうベクトルであっても、自分のスタイルがある人はかっこいいですよね」

ご存知、カート・コバーンの妻として知られるコートニー・ラブ。彼女がフロントマンを務め、90年代に絶大な人気を誇ったバンドがこのホール。 その生い立ちから、カート・コバーンとの恋愛、結婚。そして、カート・コバーンの自殺などコートニー・ラブの人生そのものが、波乱万丈であり、“ロック”。そんな人生を歩んできた彼女だからこそ、歌にサウンドにその魂が宿り、我々の心に迫ってくるものがある。現在、51歳。紛れもなく“カッコいい女の子”である。

CHOICE 7
大好きだけど踊れない曲
Sonny Rollins“Saxophone Colossus”

itunes

Saxophone Colossus
Sonny Rollins

ジャンル: ジャズ, ミュージック, バップ, ハード・バップ

「踊れないことはないと思うんですけど、DJではかけにくいかなぁって感じです。 ジャズは父が好きで、実家にいた頃によく聴いていました。なので、ホームシックになったときによく聴きますね(笑)」

これはまさかの選曲。KYOKOからジャズが出てくるとは、うれしい驚きである。 しかも、父の影響で、「ホームシックになると聴く」という心温まるエピソードも披露してくれた。 ソニー・ロリンズは、ジャズ・サックスの巨匠であり、“Saxphone Colossus”(1956年)は、彼の名を飛躍的に広めた作品である。

CHOICE 8
最近のDJ KYOKOはこんな感じ。DJでよくかける曲
Huxley“still LOVE”

「最近は毎回プレイしていますね。2回目のブレイク後がジワジワと高まります。 このレーベル『Aus music』のファンでもあります(笑)」

ラストにDJユースな楽曲を紹介してくれた。 ハクスリーは、UKガラージ~ハウスのプロデューサー。今年10月にリリースされたばかりのこの曲は、ガラージ~ハウスの王道的なプロダクションながらも女性ボーカル使いや、KYOKOが言う「2回目のブレイク以降」からの空間的なシンセサウンドへの展開が、グルーヴィにハメてくれる。 Aus Musicは、Ninja Tuneのアーティストであるフィンクスのレーベルであり、いまのUKアンダーグラウンドの息吹を伝えてくれる希少な存在である。

DJ KYOKOがさらっとセレクトしてくれる楽曲の背景をしっかりと読み取ることで、一本の道ができてくる、RDMS冥利に尽きる渾身の回となった。 90~00年代の楽曲が多かったことも、多くの若い世代の共感を得られたのではないだろうか。 そこに女性特有の視点が加わり、さらにラストでは“これぞDJ!”と喝采を送りたくなるような、最新かつコアな楽曲をセレクトしてくれた。 DJ KYOKOのバックグラウンドを知ることができつつ、最新の傾向もしっかりと掴むことができたはずだ。

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