明るい人柄とシリアスなダンスミュージック SUGIURUMN

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第20回目のゲストは、ハウス~テクノシーンのトップDJ、SUGIURUMN。毎週国内各地を飛び回り現場に立ち続け、2013年にはレーベル、BASS WORKS RECORDINGSを主宰し、シリアスなダンスミュージックを毎週発信。これまでにオリジナルアルバムを7枚発表、3シーズン連続でリリースしたPACHA IBIZAのミックスCDも好セールスを記録するなど、プロデューサー/DJとして常に高い評価を獲得してきた。もともとはギターロックバンド、Electric Glass Balloonのボーカル/ギターを担当し、バンド解散後にダンスミュージックシーンに飛び込んだSUGIURUMN。“BEHIND THE MIX”をテーマに明かされるアーティスト性の裏側に注目!

CHOICE 1
実家で聴いていた記憶がある曲
ザ・ドリフターズ“東村山音頭”

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東村山音頭
ザ・ドリフターズ

ジャンル: コメディ, ミュージック, 歌謡曲

「ドリフが大好きで、小学二年生くらいまでなりたい職業が“志村けん”でした(笑) さらにいかりや長介さんと誕生日が一緒で。
子どもの頃は、ゲームセンターばかり行っていて、インベーダーからパックマン、クレイジークライマーとかやりまくってました。あとラリーXっていうゲームがあって、めちゃくちゃうまかったです。人だかりができるくらい(笑)」

いきなりズッコケのセレクト!と思われるかもしれないが、現在の30~40代にとってドリフターズの影響は絶大だった。若い世代の人でも、誰もが子どもの頃にアニメの主題歌など歌った記憶があると思うが、ニュアンスはそれに近い。受けたインパクトがよほど絶大だったのだろう。その後、子どもの頃の遊びの話に花が咲いたが、懐かしのゲームのタイトル名が続々と登場。ゲームセンターで人だかりを作っていたというエピソードは、大人になってからステージに立つようになる前触れともとれる。

CHOICE 2
バンド時代の自分の礎をつくったといっても過言ではない1曲
Electric Glass Balloon“Beautiful Days”

「自分のバンド時代の曲はあまり紹介したくなかったですけどね(笑) 25年くらい前ですけど、僕はバンドでギターとボーカルを担当していました。ジョイ・ディヴィジョンとかニューオーダーとか好きだったんです。
バンドもラップも、お客さんにメッセージを伝える部分があるじゃないですか、『俺の話を聞け!』って感じで。僕にはそういう部分がなかったんですよね。でもDJは『俺の話を聞け!』って感じじゃなくてお客さんが主役だから、ダンスミュージックにはすんなり入ることができたのかも」

SUGIURUMNがもともとバンドをやっていたのは有名な話。Electric Glass BalloonはSUGIURUMNが在籍していたバンドで、1992年のデビューから1998年の解散までに、4枚のオリジナルアルバムと1枚のベストアルバムをリリースした。そして解散後にイビサを訪れたことが、彼のキャリアにとって重大なターニングポイントとなる。

CHOICE 3
初めてイビサに行ったとき衝撃を受けた曲
X-Press 2“AC/DC”

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AC/DC
X-Press 2

ジャンル: ハウス, ミュージック, ダンス

「初めてイビサにいったのは2000年頃、バンドからDJに移行したばかりで、ちょうど1枚目のアルバムを制作している時期でした。アルバムに“なにかが足りない”って感じていて、そのときにイビサの話を聞いて、行ってみたんです。大好きなディープ・ディッシュがこの曲をかけてて、ブレイクに入る直前のフレーズを30分に1回くらいの割合で何度も差し込んでくるんです(笑) でも、肝心のブレイクはかけない。完全に頭がおかしくなりましたね(笑)」

この衝撃の体験が、SUGIURUMNをダンスミュージックにのめり込ませるきっかけとなった。まだ日本では、AIRやWOMBといったクラブも無かった時代に、海外の最先端のハウス~テクノの洗礼を浴びた。
X-Press 2はハウスシーンのスタートリオで、この“AC/DC”は、クラシックとも言える名曲。

CHOICE 4
今の自分なら、こうは作らないな…と思う作品
SUGIURUMN“MUSIC IS THE KEY OF LIFE”

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MUSIC IS THE KEY OF LIFE
SUGIURUMN

ジャンル: ダンス, ミュージック

「基本的にどの曲も、今だったら違う作り方をしますけど、1枚目のアルバムに収録されているこの曲は、ソウルフルな曲なんです、勢いがハンパないですね…(苦笑) 『お前の気持ちは分かった!』って感じです。
以前に雑誌でロングインタビューを受ける機会があって、久々に昔の曲を聴いてみたんです。そしたら、思ってたより良かった(笑) もっとひどいと思ってたんだけど。もちろん技術的に足りない部分はあって、その都度なにかを信じてやっているところがあって、そういったキラキラした部分が足りないものを補ってるんですよね。なんか必死さとか一生懸命さとか、昔の自分にガッツをもらいましたね」

アーティストが自身の昔の曲を聴かないのは、過去に自分が書いた手紙や作文を読みなおすのに躊躇する感覚を想像してみると理解できるかもしれない。1人で赤面しつつ読んでみると…意外といいこと書いてあった! さらに、ピュアな部分や頑張っていた自分を思い出す。言ってみれば、SUGIURUMNのコメントはこういうことだろう。
“MUSIC IS KEY OF LIFE”は、パワフルな女性ボーカルが映える4つ打ち楽曲。オーセンティックな雰囲気を漂わせつつも、バンド経験に裏打ちされたサウンドメイキングが面白いプロダクションとなっている。

CHOICE 5
“バカ”な曲
SUGIURUMN“McQueen”

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McQueen
SUGIURUMN

ジャンル: テクノ, ミュージック, ダンス

「BASS WORKS RECORDINGSから、今までに123タイトルをリリースしてるんですけど、100タイトルを越えてからジャケットのイメージを変えました。それまではミステリーサークルを基調としていたんですけど、100タイトル目以降はスーパーカーのイメージを使っています。
“バカ”っていうとなかなか難しいんですけど…正直に言うと、1曲でも自分の曲をラジオで流せたらいいなって思って選びました(笑)」

正直に答えてくれた(笑) 結局、“バカな曲”の明確なセレクトはわからずじまいだったが、自分の曲を多く聴いてもらいたいというピュアな気持ちに免じて、ここは不問としよう。こういった気持ちで曲を作り、アーティスト活動をつづけているという時点で、愛すべき“バカ”(もちろんポジティブな意味で)なわけで、5曲目の選曲にして既に自身関連の楽曲が3曲となった。

CHOICE 6
同世代のアーティストの、大好きな曲
tha BOSS“I PAY BACK”

「THA BLUE HERBのBOSSの曲はよく聴いているんですよ。朝に満員電車のなかで聴くとすごくテンションが上がると思うんですよね。だから、自分も音楽で勇気を与えられればって強く思いますね」

意外なセレクトとなった。THA BLUE HERBのtha BOSSといえばヒップホップシーンで、強烈なカリスマ性を放つMC。今年の10月にファーストソロアルバムとなる「IN THE NAME OF HIPHOP」をリリースしたばかり。同アルバムに収録されているこの曲は、PUNPEE、DJ KRUSH、grooveman Spotなどシーンのトップトラックメイカーが参加し、大きな話題となっている。THA BLUE HERBのILL-BOSSTINO名義での楽曲とはまた違った魅力を味わってほしい。

CHOICE 7
最近「これはヤラれた!」と思った曲
WIRE“Blogging”

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Blogging
WIRE

ジャンル: オルタナティブ, ミュージック, ロック, プログレロック / アートロック

「70年代から活躍してるバンドですね。新曲なんですけど、ニューオーダーの新譜より良かったです(笑) 30年以上活躍しているのに、常に新しいことをやってるのが本当にすごい」

1970年代より活躍するポストパンク~ニューウェイブ界のレジェンドバンド、ワイヤー。キャリアの節目において、何度も大きくサウンド傾向を変え、常に時代を先取りするスタイルは、様々なバンド、アーティストに大きな影響を与えてきた。
2015年4月にリリースした最新アルバム「WIRE」は、長いキャリアのなかで初のセルフタイトルドアルバムとなった。“Blogging”は、本作に収録された楽曲で、40年近く活動を続けてきてなお、現行シーンの一歩先をゆく斬新なサウンドに満ちあふれている。

CHOICE 8
最近のスギウラム作品の中からお気に入りを1曲
SUGIURUMN“Higgs”

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Higgs
SUGIURUMN

ジャンル: テクノ, ミュージック, ダンス

「一番気に入っている作品はいつでも、一番新しい作品です!」

自身が主宰するレーベルBASS WORKS RECORDINGSを設立以来、1週間に1曲のペースで新曲をリリースしてきたSUGIURUMN。常に新鮮でフレッシュな感覚を楽曲に閉じ込めてきた彼だからこそ、「一番新しい楽曲が一番のお気に入り」と言い切れるのだろう。
その最新楽曲がこのHiggs。長年にわたって国内ダンスミュージックシーンの先頭を走り続けてきたSUGIURUMNの最新サウンドを、思う存分味わってほしい!

自身の楽曲紹介数が4曲(うち1曲はバンド時代)と、RDMS史上最多であった今回。だが決して自画自賛なわけではなく、貴重なエピソードや笑いを交えてのトークで終始大いに盛り上がった。
志村けんからスタートし、ジョイ・ディヴィジョンやニューオーダーに影響を受けたというエピソードから、<CHOICE7>のWIREのセレクトは説得力のあるものだったし、tha BOSSのように音楽でリスナーに勇気や元気を与えたいという発言は、ストレートなだけに心に刺さる。SUGIURUMNの明るい人柄と、彼が生み出すシリアスなダンスミュージック。その双方の魅力が詰まった回となった。

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