論理的、理知的、はたまたカオス? NΣO TOKYO Style DJ BAKU

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第21回目のゲストは、1990年代後半に般若、RUMIとともにヒップホップグループ、般若で活動し、解散後はソロとして縦横無尽の活躍を見せるDJ/トラックメイカー/プロデューサーのDJ BAKU。近年は、ジャンルを越えたアーティストとの交流も多く、その音楽性も実に多様。インターナショナルな評価も獲得し、活動の幅を広げている彼の音楽的背景とは!?

CHOICE 1
これぞ青春の一曲
RED HOT CHILI PEPPERS“GIVE IT AWAY”

「中学2年生の頃だと思いますが、『BEAT UK』というテレビ番組が深夜に放送されていて、その番組で洋楽を知っていきましたね。レッチリの『BLOOD SUGAR SEX MAGIK』というアルバムを友達に聴かせたりしていました。修学旅行で、レッチリを大声で歌いながら山を駆け下りたり、レッチリの真似して股間に靴下つけて写真を撮ったり…。ひどいですよね(笑)
ジャンルの折衷感とか、ハチャメチャな感じが好きですね。あと、レッチリのベーシストのフリーがファンクっぽくて大好きで、今でもたまに自分の曲に要素を取り入れたりしています」

“股間に靴下をつける”とは、レッチリが1988年にリリースした「The Abbey Road E.P.」のジャケットアートワークのこと。しかも本作はザ・ビートルズの歴史的名盤「Abbey Road」のジャケットを模したもので、一時期はライブでもこの“股間に靴下”姿を披露していた。
そんな破天荒さに加え、ロックの枠にとどまらないハイブリッドなサウンドが、DJ BAKU少年の心を鷲掴みにしたのだろう。

CHOICE 2
ヒップホップの定義とは? ギリギリ、ヒップホップだと思う曲
Yogi & Skrillex“Burial(feat. Pusha T, Moody Good, Trollphace)”

「難しい質問でした。というのも、いまは本当にいろいろなヒップホップがあるので。
でも、あえて言うなら“グルーヴ”だと思います。直線的じゃないというか、縦じゃなくて、横の“ノリ”というか…。
この曲は、ラッパーのプシャ・Tが参加していることもあるんですが、スクリレックスのギリギリの暴力感が、ロックとも違うし、ギリギリのヒップホップを感じますね」

時代が変われば、サウンドも変わる。ジャンルの定義も変わっていく。いまやヒップホップもひと言で説明するのは困難なほど、幅広い音楽性を持っている。
そんななかでDJ BAKUが“ギリギリ、ヒップホップ”として挙げてくれたのが、スクリレックスのこちらの曲。彼は先日開催された『ULTRA JAPAN』でもトラップ、ラガ、ダブステップ、EDMと縦横無尽のジャンルレスなプレイで、音楽への造詣の深さを見せつけてくれた。“ギリギリ”という意味では、これ以上ない答えかもしれない。

CHOICE 3
機会があったら今度サンプリングしたいと思っている曲
The Champs“Tequila”

itunes

Tequila
The Champs

ジャンル: ロック, ミュージック, アダルト・アルタナティブ, ロックンロール

「有名な曲ですね。たまにクラブでも、おめでたい時にかけたりしますよね。情熱的で明るい曲なんですけど、ザ・チャンプスのバージョンは、一番有名な『テキーラ!』というフレーズが意外と渋いんですよ(笑)
1stアルバムのときは、スペインとか南米の音楽をサンプリングしたりしてたんですけど、こういったわかりやすい曲をサンプリングするのもいいのかな~って。今度は『スミノフ!』ってシャウトする曲も作ってみたいですね(笑)」

誰もが一度は聴いたことのある超メジャーな楽曲。聴けば思わず踊りだし、テキーラのショットを流し込みたくなるような陽気な曲調だが、DJ BAKUだったら一体どのようにサンプリングするのか、興味深い。

CHOICE 4
チルアウトするときに聴きたくなる曲
Ice Cube“You Know How We Do It”

「僕が最初に買ったレコードがたまたまこの曲だったんです。だから、思い入れがありますね。
中学3年生の頃だったと思いますが、渋谷宇田川町の、今はサイゼリヤがある場所に、TOWER RECORDSがあったんですよ。 “RECORDS”って書いてあるから、レコードばかりなんだろうなって思って入ってみたら、CDばかりで驚きました(笑)
そこで、何もわからずに買ったのがこの曲。そんなに西海岸系の音楽は詳しいわけではないんですが、メロディも好きで繰り返し聴いていたので、この曲を聴くと昔を思い出しますね」

一口にチルアウトと言っても人によって解釈はまちまちだと思うが、DJ BAKUの選曲理由から想像すると、“ノスタルジック系チルアウト”といったところか。昔はこんなことあったな~としみじみと懐かしむ。当時、描いていた将来の自分と今の自分を比較したり、あの頃はバカだった、なんて思いを巡らす。音楽というのは常に思い出と一緒にあるものなのだろう。

CHOICE 5
おそるべき若手アーティスト
Sh0h(ビートボクサー)

「パフォーマンスの構成がすごいんですよね。すごくジャジーで。ヒューマンビートボックスって“大道芸”みたいになりがちなんですけど、Sh0hは曲として長く聴ける。
彼は最近、マイケル・ジャクソンの振付師であるトラヴィス・ペインと契約したんです。まだ21歳で、今後に期待できるホープですね。
最近の若いアーティストは総じて、頭がいいな、賢いなって印象です。ただ逆にアホな感じのアーティストが少ないので、寂しい感じもします(笑)」

ヒューマンビートボックスならぬ“ヒューマンディスコ”を名乗るSh0h。彼の特徴は、ヒューマンビートボックスのパブリックイメージを越えた、ジャジーでファンキーなサウンドにある。YouTubeの動画では、ジャスティン・ビーバー「Sorry」やマーク・ロンソン&ブルーノ・マーズ「Uptown Funk」のカバーなど驚愕のスキルを観ることができるので、ぜひチェックしてもらいたい。

CHOICE 6
DJ BAKUがライバル視しているアーティストの曲
The Prodigy“Smack My Bitch Up”

itunes

Smack My Bitch Up
The Prodigy

ジャンル: ダンス, ミュージック, テクノ, エレクトロニック, エレクトロニカ

「ブラックミュージックからのサンプリングをたくさん使っているのに、シンセやエフェクトを駆使して、ロックなブレイクビーツに仕上げているところがかっこいいですよね。プロディジーのトラックメイカーであるリアム・ハウレットの曲の作り方にすごく共感しますね。
この曲は、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンからもサンプリングしているし、ウルトラマグネティックMC’sの声も入っている。この混ぜ方のセンスがハンパないですね」

さすがはトラックメイカーの視点。リアム・ハウレットは、バンドのリーダーであり、プロディジーの頭脳とも言える存在。彼らのエネルギッシュかつ緻密なサウンドメイキングは、ひとえにリアム・ハウレットの手腕によるものだ。
改めてDJ BAKUの説明を聞くことで、プロディジーの革新性やセンスを理解することができたリスナーも多いはず。

CHOICE 7
DJ BAKUっぽくないけど、好きな曲
Zedd“I Want You To Know ft. Selena Gomez”

「すごくメロディがいいですね、綺麗です。エモーショナルな感じも大好きで、自分では作れないだろうなって思います」

日本でも高い人気を誇るEDM界のスーパースター、ゼッドの最新ヒット曲をセレクト。
国境を越えて、世代を越えて、響くのはやはり“メロディ”。EDMシーンを飛び越えて、レディ・ガガやニッキー・ミナージュ、ジャスティン・ビーバーなど名立たるスーパースターのプロデュースを手がけるなど、アーティストからの信頼が厚いのは、やはりメロディセンスにあるのだろう。
しかし、DJ BAKUの口からゼッド、しかもfeat.セレーナ・ゴメスというのは意外だった…と思うのは、我々こそが音楽をフラットに捉えられていない、ということなのかも(笑)

CHOICE 8
最新アルバムからオススメを一曲
DJ BAKU“NEO KHAOS feat. Ryo(Crystal Lake)”

「大友克洋さんの『AKIRA』からインスピレーションを受けて、アルバムタイトルは『NΣO TOKYO RΛVΣ STYLΣ』にしました。あと5年ほどで東京オリンピックも開催されますし、“ネオ・トーキョー”の時代がやってくるので、僕はそこで“RAVE STYLE”を提唱したいなと。
本作にはUSやUK、日本から様々なアーティストに参加してもらっているんですが、この曲はCrystal LakeというバンドのRyoくんと作った曲です」

11月25日に発売されたばかりのニューアルバム「NΣO TOKYO RΛVΣ STYLΣ」。
紹介してくれたRyo(Crystal Lake)のほか、<CHOICE5>で話題となったSh0hや元THE MAD CAPSULE MARKETSのKYONO、HABANERO POSSE、N’夙川BOYSなどジャンルレスなアーティストが参加。DJ BAKUが言う通り、現在から未来へと続く東京のミュージックシーンを見据えた革新作となっている。

最新アルバム「NΣO TOKYO RΛVΣ STYLΣ」のサウンドのように、各項目で幅広い選曲をしてくれたDJ BAKU。そして、トラックメイカー/プロデューサーならではの視点が随所に見られたことも今回の特徴であった。
この番組ではこれまで、多くのDJやプロデューサーに出演してもらい、その音楽的背景を紐解いてきたが、DJ BAKUからは、論理的・理知的でありながらも、その真逆とも言える“カオス”なセンスを愛している印象を受けた。
音楽的背景というよりも、音楽哲学。その理念の一部を体験できたのではないだろうか。

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