日本のドラムンベースシーンを牽引し続ける、DJ AKi

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第23回目のゲストは、日本のドラムンベースシーンを牽引し続けるDJ AKiが登場! 1996年にNYでDJをスタートすると、ロンドンのFABRICやヨーロッパ、南米など世界中のクラブ、フェスでプレイを重ね、渋谷WOMBでのレジデントパーティ『06S』は、14年以上にわたって人気パーティとして継続中。アーティストへの楽曲提供やプロデュース、リミックスワークなども数多くこなしてきたトップアーティストだ。DJ Akiの選曲からたどる、彼のバックグラウンドに注目!

CHOICE 1
初めてダンスミュージックにシビれた曲
YMO“Technopolis”
A TRIBE CALLED QUEST“Jazz (We’ve Got)”

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Technopolis
YMO

ジャンル: エレクトロニック, ミュージック, ポップ, クラシック, Modern Era, ロック, オルタナティブ, ニューウェーブ

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Jazz (We’ve Got)
A TRIBE CALLED QUEST

ジャンル: ヒップホップ/ラップ, ミュージック, ヒップホップ, ラップ, イースト・コースト・ ラップ, オルタナティブ・ラップ

「YMOの“Technopolis”を初めて聴いたのは、小学校の高学年くらいのときで、衝撃を受けましたね。近所に音楽を教えてくれるお兄さんがいて、彼からカセットテープを借りたりしてました。初代WALKMANでYMOを聴きながら、ローラースケートで滑っているような子どもでした(笑)
もうひとつは、ア・トライブ・コールド・クエストですね。僕は20代のほとんどをNYで過ごして、その頃に出会ったデ・ラ・ソウル、サイプレス・ヒルなどのヒップホップは革新的に思えました。NYで本物のダンスミュージックに出会ったのがきっかけで、本格的にクラブに行くようにもなりましたね」

ダンスミュージックの原体験としてジャンルの異なる2曲をセレクト。ひとつは、日本から世界にテクノ革命を起こした、ご存知YMOのクラシック“Technopolis”。ローラースケートを履きながら、当時最先端のテクノミュージックをWALKMANで聴く…。なんてクールな小学生だ(笑)
もうひとつは、本場NYで体感したヒップホップ。DJ AKiにとって、ジャンルは違えども音楽の面白さを衝撃的に伝えてくれたのがこの2曲なのだろう。テクノとヒップホップ。ドラムンベースとも親和性の高いジャンルから選ばれたのは、必然か偶然か。

CHOICE 2
今でも大好きなNY HOUSEの曲
Danny Tenaglia“Elements(The DTour)”

「20歳の頃、デザイン会社に勤めていたんですけど、このままじゃ面白い人間になれないなって悟って『じゃあ、海外だろ! NYだ!』ってことでNYへ行きました(笑) 完全に勢いですね。
英語も全然しゃべれないし。当時のNYはハウスが全盛だったので、ダニー・テナグリアやジュニア・ヴァスケス、ヴィクター、フランキー・ナックルズなどのDJプレイをたくさん聴きました。伝説的なクラブであるTWILOやSOUND FACTORYが遊び場でした」

90年代のNYはハウスの黄金時代。マドンナが4つ打ちを取り入れるなど、その影響はメジャーシーンにも浸透し、クラブシーンではDJ AKiのコメントに挙がったアーティスト達や、他にもルイ・ヴェガ、デビッド・モラレスなどの才能がしのぎを削っていた。
新鮮な楽曲が次から次へと生まれ、クラブも熱気に包まれる。この黄金時代を現場で経験したというのは、クラブミュージック・ファンならうらやましく思うはずだ。また<CHOICE1>で衝撃を受けたヒップホップから、ハウスを経由して、最終的にドラムンベースへ行きつくキャリアも実に興味深い。

CHOICE 3
ブラジリアン・ドラムンベースからオススメを1曲
DJ Marky & XRS feat Stamina MC“LK”

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LK
DJ Marky & XRS feat Stamina MC

ジャンル: ブレークビーツ, ミュージック, ダンス

「12年ほど前に大ヒットした曲ですね。ボサノバで有名なジョルジュ・ベンの曲のギターをサンプリングした楽曲で、DJマーキーはブラジリアン・ドラムンベースの英雄ですね。
僕が最初にブラジルに行ったのは、2004年。1回行ったら、ハマってしまって…。ここ10年で5回も訪れました。ここ10年で5回も訪れました。肌の色や人種なんて気にしない、底抜けな陽気さや明るいヴァイブスがあるんですよね。2016年の1月9日の自分のパーティ「06S」にDJマーキーがゲストで来日するので、ぜひWOMBに遊びに来てほしいですね!」

あらゆるジャンルの音楽に精通…というのは、この番組に出演してくれたどのアーティストにも共通しているが、特にDJ AKiの場合はヒップホップにしろ、ハウスにしろ、ブラジリアン・ドラムンベースにしろ、実際現場で“ヴァイブス”を体験しているがゆえ、彼のDJプレイにはそれらの影響が確実にフィードバックされているのだろう。
聴覚だけではなく、五感で得た世界各国のダンスミュージックの息吹。それこそがDJ AKiにとってDJとしての大きな武器となっている。

CHOICE 4
ヘアースタイルがトレードマークのDJ AKi… ドレッドなミュージシャンの曲
Bob Marley & The Wailers“One Love”

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One Love
Bob Marley & The Wailers

ジャンル: レゲエ, ミュージック

「ドレッドといったら、もうこの人しかいないですよね(笑)
僕は初めて一人旅をしたのがジャマイカなんです。そのときにボブ・マーリィのお墓にも行きました。彼が音楽を作る際に、石に頭を置いて考えたそうなんですが、僕もその石に頭を置いて寝転がってきました(笑)
僕の髪型は、正確にはドレッドじゃなくてブレイズなんですが、ここ10年以上ずっと同じです。なぜか世界中で、年配の女性に髪型について話しかけられるんです。『きれいに編んでいるわね』とか『洗えるの?』とか(笑) いつも同じことを言われます(笑)」

当然というか、これ以上の答えもあるわけもなく、レゲエの神様であるボブ・マーリィをセレクト。しかも、DJ Akiはジャマイカを訪れ、お墓参りにも行っているという事実。単純にドレッドだから、レゲエの神様だから、という以上の説得力のある答えとなった。

CHOICE 5
ULTRA JAPAN 2015でかけて盛り上がった曲
Metrik“Freefall (feat. Reija Lee)”

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Freefall (feat. Reija Lee)
Metrik

ジャンル: ダンス, ミュージック

「自分で言うのもなんですが、終始盛り上がっていて(笑) その中でも後半にかけたこの曲は特に盛り上がりました。個人的には今年のベストギグだったと思います。
今年のULTRA JAPANは、サブフロアーの初日がドラムンベースに特化したステージになっていたというのが、僕にとっては革命的な出来事でした。しかも、海外のドラムンベースのトップアーティストが1日で4組も観られるなんて、滅多にないことなんで」

今年のULTRA JAPANの特徴は、それぞれひとつのジャンルに特化したサブステージの存在。初日はドラムンベースに特化したステージとなり、サブ・フォーカスやチェイス&ステイタス、ペンデュラム、シグマといった世界のトップアーティストが集結し、メインステージにも負けない熱気を生み出した。
まだまだ日本では浸透しているとは言いがたいドラムンベースだけに、いまや国内最高峰のフェスとなったULTRA JAPANでこのような盛り上がりを実現できたことは、先駆者であるDJ AKiにとっては忘れがたい1日となったはずだ。

CHOICE 6
最近のプレイでよくかける、お気に入りの1曲
Phace & Noisia“Drawback”

「ヨーロッパで大人気のオランダのトリオで、スタジオから自分たちで作っちゃうような人たちなんです。ドラムのグルーヴとベースラインの太さが特徴で、じっくりと味わえます。
最近の僕のプレイでいうと、ドラムンベースでありながら、テクノのように、シンプルにビートとベースが反復するようなDJセットが自分的に旬ですね。もちろん自分のテイストだけでまとめてしまうと、お客さんの期待に反することもあるので、歌モノを盛り込みながらなど工夫して、常に最先端の音楽はプレイし続けたいと思っています」

DJ AKiが最近プレイする楽曲に挙げてくれたのは、フェイス&ノイジアの“Drawback”。コメントにもあるが、ノイジアは重低音を武器にハイブリッドなドラムンベースを聴かせるヨーロッパ屈指のアクト。DJ AKiのイベントに足を運んだら、この曲をどのタイミングで、どのようにプレイするかに注目すると面白いかもしれない。

CHOICE 7
オススメのドラムンベース入門曲
Sub Focus ‘You Make It Better’ Feat. Culture Shock and TC

「ドラムンベースは、色んな音楽の魅力を取り込めるジャンルなんです。またBPMが早いとよく言われますが、倍でとればゆったりとしたテンポでノることも出来ますし、一度掘り始めると抜け出せなくなる中毒性があると思います。
新しい曲も次から次へとリリースされていますし、UKではいま世代が入れ替わっていてすごく面白い。入門編としては、歌モノがいいかなと思って、この曲をセレクトしました」

ドラムンベースってどんな音楽?という疑問に、国内トップDJがまずこれを聴いてほしいと挙げたのが、サブ・フォーカスの“You Make It Better feat. Culture Shock And TC”。
ドラムンベースはBPMが早いだけじゃない! ボーカルものもあれば、メロディアスなものもある。もちろんハードな曲もあるし、ミニマルテクノのようにシンプルな構造のものや、バンドによる人力サウンドも存在する。一言にドラムンベースと言えど、千差万別。この曲を入口に多種多様なドラムンベースの世界を楽しんでみてほしい!

ドラムンベースDJの第一人者らしい多彩な選曲は、ヒップホップやハウスの黄金期である90年代NYで体感したキャリアや、数多くの国々でのあらゆるサウンド体験の産物なのだろう。
その多様性こそが、DJ AKiがドラムンベースシーンで、長年厚い支持を獲得してきた理由のひとつなのだと、選曲を通じて理解することができた。「掘り始めると中毒になる」と彼が言ったように、奥深きドラムンベースの魅力の一端を体験することができた。

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