テクノDJ Q’HEYの裏に隠された“ロック”の精神とは!?

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第25回目のゲストは、キャリア、実力ともに国内トップテクノDJとしてシーンを牽引しつづけるQ’HEY。国内最長寿パーティ『REBOOT』のレジデントDJを務め、レーベル:MOON AGE RECORDINGSを主宰するなど、常に最前線で活動している彼。今回は、メインMCのRYUに加えて、DJ RSが参加。Q’HEYのバックグラウンドを探ると、テクノDJとしてのQ’HEYの裏に隠された“ロック”の精神が見えてきた。

CHOICE 1
お酒が大好きなQ’HEYさん、飲んでいるときに聴きたい曲
Yello“Jungle Bill(Sabres Of Paradise Part2)”

「アンドリュー・ウェザオールのユニット、セイバーズ・オブ・パラダイスの初期のリミックス作品です。飲んでいるときは、じっくりと音にハマりたいんですよね。短いポップスのような曲はすぐに終わってしまうので、10分以上あるこの曲は最高です(笑) 先日も飲みながら聴いたんですが、すごく壮大なトラックなので、10分があっという間ですね。
49歳の誕生日はAIRで『REBOOT』をやらせてもらったんですが、最後に49回の胴上げをされたんです。最初はすごく気持ちよかったです(笑)」

インディーロックとダンスミュージックの融合を図り、90年代初頭のマッドチェスター・ムーヴメントを牽引したDJ/プロデューサー、アンドリュー・ウェザオール。多くの名義で作品を発表している彼だが、その中でも著名なユニットであるセイバーズ・オブ・パラダイスのリミックス作品をセレクト。もともとロックDJからスタートしたQ’HEYもこの90年代のマッドチェスター・ムーヴメントを牽引したアンドリュー・ウェザオールの作品から大きな影響を受けたようで…。それは今後のセレクトでさらに明らかになってくる。

CHOICE 2
子どもに初めてダンスミュージックを聴かせるならこれ!
Ylvis“The Fox(What Does The Fox Say?)”

「うちの子どもはすでに十分ダンスミュージックを聴いています(笑) この曲は最初にママがハマって、よく聴いていたので、それで子どもも好きになりましたね。動物の鳴き声とかが入っていて、可愛らしいんです。うちは2人とも男の子で、7歳と5歳です。やんちゃですね。さすがにクラブには連れて行っていないですが、野外やビーチフェスには一緒に行ったりしますよ。YouTube等で僕の姿は見ているので、パパの仕事がDJだということは認識していると思います」

父親がDJという家庭環境から、7歳と5歳のお子さんもすでにダンスミュージックが身近にあるようだ。この“The Fox”は2013年頃にYouTubeを中心に人気に火がついたイルヴィスの楽曲で、その歌詞が“犬はワンワン 猫はニャオ ネズミはチュー…”といったいわば“みんなのうた”的でありながら、ダンスミュージックという意匠が特徴。お子さんがいらっしゃる方は、親子で楽しく聴けるはず!

CHOICE 3
初めてビビッときたダンスミュージック
Primal Scream“Don’t Fight It, Feel It”

「もともとロックDJだったんですが、ロックがダンスミュージックとして徐々に機能し始めた頃のプライマルスクリームの曲ですね。この曲もアンドリュー・ウェザオールのプロデュースです。ロックとダンスミュージックに融合していく流れを彼が作っていったんですが、それにビビッときましたね」

91年にリリースされたプライマルスクリームの出世作『Screamadelica』の収録曲。ロックな作品でありながら、アンドリュー・ウェザオールやジ・オーブなどのテクノ畑からのアーティストがプロデュースに参加し、当時のマッドチェスター・ムーヴメントを象徴する作品として有名だ。ダンスミュージックとロックの両シーンで大きな変革があった時期、Q’HEYもリアルタイムでその流れを感じ、彼自身もロックからハウス、テクノDJへと移行していく。

CHOICE 4
歌ものハウスで、いまでも好きな曲は?
Liberty City“Some Lovin’”

itunes

Some Lovin’
Liberty City

ジャンル: ハウス

「これも90年代初頭の曲なんですが、この頃は僕もいろいろありまして、ニルヴァーナの次にマライア・キャリーをかけ、その後ハードコアにつなげるみたいなスタイルでした。僕はクラブが大好きですが、ディスコはあまり好きじゃないんです。というのも、クラブで大音量のロックを聴いて、暴れるという感覚がよかった。ロックのコンサートに行っても、身体は動かすけれど“ダンスする”という感覚はないと思うんです。それが融合し始めたのが、先述のプライマルスクリームの頃です。
ロックの象徴であるギターより、ノイズやキックの方に“ロック”を感じ始めました。だからいまだに、テクノをプレイする時もロックのつもりでかけています」

ロックDJからハウスDJへと変貌を遂げ、そしていまや国内トップ・テクノDJとして活躍しているQ’HEY。しかし、彼はプレイするジャンルを意図的に変えたというより、テクノの中に、より強くロックを感じということだろう。
ロックからテクノへと変遷する過程で、一時はハウスDJだったQ’HEYがセレクトした“歌もの”がLiberty City“Some Lovin’”。実はこの曲も92年。90年代初頭の時代に、Q’HEYのアーティスト性を作る要素が多く詰まっているようだ。

CHOICE 5
テクノを感じるロックの曲
The Jesus And Mary Chain“Reverence”

「これも90年代初頭の曲(笑) テクノもロックもこの辺りは豊作なんですよ。“ロックを感じるテクノ”はいつもかけてるんですが、“テクノを感じるロック”となると悩みどころでした。92年のこの曲は、荒れたマシーンビートとノイズのアンサンブルがたまりません。シューゲイザーの象徴的な1曲ではありますが、多分にテクノ的だと思います」

そもそもロックを感じたことでテクノにのめり込んだQ’HEY。これはなかなかの難問だったようだ。今回の番組のゲストMC:DJ RSもこの曲が好きだったが、アーティスト名を略称で“ジザメリ”と言ったことに対し、Q’HEYが「そういうのはあまり好きじゃない(笑)」とさえぎるシーンもあり、世代を超えたDJの秀逸なやり取りだった。

CHOICE 6
クリスマスデートに合いそうな曲
Q’HEY“Merry X’mas 2010”

「毎年、クリスマスの時期にかけています。僕のブートレグですが、坂本龍一さんの“戦場のメリークリスマス”とダブファイアの曲をマッシュアップしています。
クリスマスもDJをしていることが多いのですが、かつて青山にあったマニアックラブでサンタの格好でDJをしていたら、フロアが煙でモクモクになるボヤ騒ぎがありました。消防隊が入ってきたんですが、ちょうどこの曲をかけていました(笑)」

この曲はブートだが、Q’HEYのSoundcloudで公開されている。
このクリスマスのエピソードは衝撃的。クリスマスにサンタの格好でDJをしているときに、クラブに消防員がやってくるなんて、なかなかないエピソードである。

CHOICE 7
最近のQ’HEYはこんな感じ!DJでよくかける曲
Bjarki“I Wanna Go Bang”

「ピークタイムにかけるような曲ではないんですけど、緩急をつける全体の流れででグッと潜るときに欠かせない曲ですね。
すごくシンプルな構成なのに、かっこいい。テクノってもともとこういう感じだったよなっていう初期衝動を思い出す、原点回帰できる曲です」

いまをときめくフィメールDJ、ニーナ・クラヴィッツの主宰レーベルより、2015年のリリース作。音数がシンプルながらもグルーヴィにハメていくオーセンティックなテクノで、1セットの構成を考える上では、欠かせない武器だと言う。
ピークタイムを彩る、誰もが盛り上がる楽曲がセレクトされがちなこの手の質問だが、こういった縁の下の力持ち的な楽曲を挙げるところに、Q’HEYのDJ哲学を感じる。

80年代後半の“セカンド・サマー・オブ・ラブ”の後に起きた、90年代初頭のマッドチェスター・ムーヴメント。この時代はダンスミュージックにおいて大きな変革期であるとともに、Q’HEYに対しても転機となったようだ。
今回は“バックグラウンドを探る”という、当番組のコンセプトにふさわしく、ロックDJからテクノDJへと変化した時期のQ’HEYに焦点があたったプレイリストが出来上がった。

OTHER ARTIST
続けて読みたい! あなたにオススメの記事