ヴィンテージのハーレーダビッドソンを乗りこなし、アニメを愛するDJ KO KIMURA

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第29回目のゲストは、日本のクラブシーンをリードし続け、2015年にDJキャリア30周年を迎えたKO KIMURAが登場! 国内はもちろん、海外からも高い評価を獲得し、世界各国のクラブやイベントでプレイを重ねる一方で、自身主宰のレーベルFUTIC RECORDINGS TOKYOからも精力的に楽曲をリリース。DDJキャリア30周年を記念した最新アルバムのリリースが待たれる中、待望の出演が実現!

CHOICE 1
これぞハウス原体験! ハウスにハマった一曲
Farley ‘Jackmaster’ Funk“Love Can’t Turn Around”

「1985~86年くらいの曲で、まだ“ハウス”という言葉が生まれたばかりの頃ですね。NYのクラブの名店“パラダイス・ガレージ”からとって、“ガレージ”というジャンルにカテゴライズされていた時代です。
僕は名古屋でDJキャリアをスタートさせたんですが、その頃はブレイクブーツやヒップホップをプレイしていました。当時、先輩DJがNYに行ったんですが、帰国したら『KOくん、いまはヒップホップじゃなくて、“ハウス”だよ』って言って、カセットテープをくれたんです。その先輩、クラブでラリー・レヴァンのプレイを録音してきたんですよ(笑)。そしたら、90分テープの片面全部がこの曲の2枚使いのロングミックスだったんです」

冒頭から貴重なエピソードを披露! 現在のようにインターネットで世界中の情報を入手できる時代ではなかった30年前。時間差なく最新の音楽に触れるということは、人生の道筋を決めてしまうほどの衝撃だったかもしれない。
選曲してくれたのは、当時のシカゴを代表するアーティストであるファーリー・ジャックマスター・ファンクの1曲。UKチャート10位にランクインした1986年のヒット曲で、彼はその他“Jack the Bass”“Pump-N The Bass”など、ファンキーでちょっとイカれた楽曲を多数残している。

CHOICE 2
いまこそ聴いてもらいたい、アンダーグラウンドな曲
Adrian Hour“00005(Original Mix)”

「いまのシーンはEDMのようなパーティーが流行っていて、一般的な盛り上がりもあり、すごく面白いと思います。でも、僕のクラブ体験は『なんだこの曲は?』っていう、アンダーグラウンドの曲に対する驚きから始まったので、“陰と陽”って感じで、アンダーグラウンドとメジャーの両シーンがしっかりあるともっと面白いと感じます。
この曲は地味な印象かもしれないですけど、キックドラムの連続がかっこよくて、クラブで聴くと高音が脳天に突き刺さる感覚になります。メロディも浮遊感があって立体的に聴こえるんです」

EDMのようなアリーナクラスのビッグパーティーが隆盛を極めるなか、ダンスミュージックのアナザーサイドであるアンダーグラウンドシーンも確実に熟成している。EDMがきっかけでダンスミュージックに興味を持ち、他のジャンルやその系譜、過去のクラシックなどを掘る人がもっと多くなれば、クラブシーンはもっともっと面白くなるはず!

CHOICE 3
バイクに乗っているときに、頭の中で鳴っている曲は?
Oliver Huntemann“Pech(Original Mix)”

itunes

Pech(Original Mix)
Oliver Huntemann

ジャンル: テクノ

「この曲のように透明感がありながらも、じわじわとあがってくるドライブ感があるのがいいですよね。
僕は1940年代のヴィンテージのハーレーダビッドソンに乗っているんですが、当時はコンピューターの部品を使ってないので、機械の仕組みや部品集め、その時代の歴史考証などすべてが楽しいですね。
ひとりで“無”になって疾走感とエンジンの鼓動感にハマるっていうのもダンスミュージックと同じ感覚かもしれません。まあ禅の悟りを開くイニシエーション的な感覚とも同じかもしれませんね(笑)」

音楽以外にも様々な分野に造詣が深いことで知られるKO KIMURA。この質問は、“ジョギングをするとき”や“通勤時”に置き換えてもいいかもれない。要は、自分がなにかに没頭している時に効果的に流れるBGMであり、皆さんにもそんな曲が存在するのではないだろうか。
オリバー・ハントマンは、世界的な人気を誇るテクノDJ。アンダーワールドやケミカル・ブラザーズのリミックスといったメジャーなものから、スヴェン・フェイトやDJヘルのレーベルからのリリースなど、常にシーンの最前線を突っ走り、日本でも高い人気を誇っている人物。

CHOICE 4
アニメ×ダンスミュージックといえば?
Hiroshi Watanabe“Get It By Your Hands”
YUKI/坂道のメロディ

itunes

坂道のメロディ
YUKI

ジャンル: J-Pop, ミュージック

この質問には、2曲をピックアップ。“Get It By Your Hands”は、ダンスミュージック好きにもアニメ好きにもお馴染みの『交響詩篇エウレカセブン』から。サウンドトラックも秀逸なので、未聴の方にはぜひおすすめしたい。
もう1曲は、『坂道のアポロン』から。こちらも音楽×アニメが好きな方にはたまらないキャスト(渡辺信一郎や菅野よう子など)が贈る傑作!

「“Get It By Your Hands”はアニソンって感じではないですよね(笑)。『交響詩篇エウレカセブン』で使用されていて、この曲のためにあのシーンを作ったんじゃないの!?ってくらいハマっていましたね。
作品自体に音楽的要素、特にテクノの要素がふんだんに盛り込まれていて、音楽も素晴らしい。KAGAMIくんや僕も曲を提供しています。
“坂道のメロディ”は、『坂道のアポロン』というジャズを扱ったアニメの主題歌です。音楽となると、どうしてもパーツで聴いてしまうのですが、この曲はベースラインが本当に秀逸です。
最近のアニメだと、『監獄学園(プリズンスクール)』や『おそ松さん』が面白いですね」

ヴィンテージのハーレーダビッドソンを乗りこなすDJ…、というイメージとは一見裏腹に思える、アニメ好きな一面。KO KIMURAの多趣味ぶりが垣間見える。

CHOICE 5
至福の趣味の時間……仕事は忘れて聴いていたい曲
Roxy music“to turn you on”

itunes

to turn you on
Roxy music

ジャンル: ロック, ミュージック, プログレロック / アートロック, ポップ, ポップ / ロック, アリーナロック

「残念ながら先日デヴィッド・ボウイは亡くなってしまいましたけど、あの時代の大人でラグジュアリーな魅力がロキシー・ミュージックには凝縮されていますね。
この曲が収録されているアルバム『AVALON』がすごくいいです」

先日他界したグラム・ロック界のレジェンド、デヴィッド・ボウイの同時期にデビューし、UKロックシーンを牽引したロキシー・ミュージック。過去には、ブライアン・イーノらが所属し、常に前衛的な楽曲をリリースしてきた彼ら。
なかでもアルバム『AVALON』は全英1位を獲得した彼らの代表作。当時の空気感を色濃く残し、現行シーンにも大きな影響を残したサウンドはいまでも必聴と言えよう。

CHOICE 6
若い世代で注目アーティストの曲
Joop junior“mouth do not”

itunes

mouth do not
Joop junior

ジャンル: テクノ

「2年くらい前にバルセロナのイベントで共演したオランダ人アーティストです。
最近の若いDJは、有名になりたいっていう願望が強いんですが、彼はそれよりも“テクノってかっこいいだろ!?”ってマインドが前面に出ている珍しいタイプでした。逆に若い子からいい影響を受けることができましたね」

まだまだ若い世代にもこんな初期衝動を持って活動しているアーティストがいるのか、とKO KIMURAを驚かせたJoop Junior。このようなピュアかつ高いクオリティのテクノ~ハウスのトラックを20歳そこそこのアーティストが仕上げてくるのもヨーロッパシーンならではなのかも。
「こんなカッコいい曲があるんだぜ」「この曲を聴いてくれ!」といった姿勢が前面に押し出たパフォーマンスは、真の意味での“DJ”と言えるかもしれない。DJ歴30年のKO KIMURAにフレッシュな気持ちを蘇らせたJoop Juniorのプレイ、ぜひ日本でも観てみたい!

CHOICE 7
最近のKO KIMURAはこんな感じ! 2016年にヘビープレイしそうな曲
the junkies“smoke city”

「この曲のように、テックハウスとプログレッシブハウスの中間のような曲をかけることが多くなると思います。無機質過ぎずに、“激盛り”でもない、メロディアスでアガるトラックが、いまの雰囲気かもしれません」

DJ30周年を記念した最新アルバムを鋭意製作中であるKO KIMURA。彼のいまのトレンドは、盛り上げつつもクラブミュージック特有のグルーヴやベースラインを重要視したサウンドだそうだ。
KO KIMURAの30年に渡るDJ歴の中での、変化しない軸の部分と変化し続ける対応力。その両側面を感じ取れる1曲。

アニメやバイクなど、KO KIMURAならではのバラエティに富んだ選曲だったが、一貫してハウス~テクノ周辺の楽曲をセレクトしてくれたのは、さすがの一言。
多様な視点や引き出しを持ちつつも、DJとしての哲学はブレない。これこそが30年間シーンをリードし続けたトップアーティストの強さなのだろう。
意外な一面から、これぞKO KIMURA!な選曲まで、彼のアーティスト性を深く知ることができた。

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