“セカンド・サマー・オブ・ラブ”のど真ん中にいたDJ TSUYOSHIの選曲!!

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第30回目のゲストは、ゴアトランスの第一人者としても知られるDJ TSUYOSHIが登場! 1992年に単身渡英し、トランスレーベル:MATSURI PRODUCTIONSを設立し、数々のスマッシュヒットを生み出す。レギュラーイベント『Return To The Source』も大成功を収め、一躍世界に名を知らしめた。エレクトロバンド:JOUJOUKAとしても、ダンスミュージックとロックの融合を高いレベルで成立させ、世界的な評価を獲得。世界を股にかけ、常にダンスミュージックの最先端を見据えてきたDJ TSUYOSHIのバックグラウンドに、その選曲から迫る!

CHOICE 1
音楽活動開始当初、大きな影響を受けた曲
坂本龍一“WAR HEAD”

「僕の世代…例えば石野卓球とかSUGIZOとかも一緒だけど、みんなYMO(Yellow Magic Orchestra)に影響を受けてると思う。
1980年の曲で、中学1年生の頃だと思いますが、いわゆるYMO中毒になっていました。朝から晩までYMO、YMO、YMO…ですね(笑) 日本人が世界に向けて音楽を発信しているというのが、当時はすごい衝撃でした。
高橋幸宏さんがファッションデザイナーだったから、服装を真似したり、当時はテクノカットという髪型もあったり、ラジオ番組『サウンドストリート』の坂本龍一の回は毎回聴いていました。番組でUKのニューウェイブ系を紹介してくれるんで、次の日にすぐに地元のレコード屋で買ってましたね」

DJ TSUYOSHIのバックグラウンドを語る上で、欠かすことのできないのがYMOの存在。80年代初頭のテクノ~ニューウェイブ・ムーブメントを牽引したYMOのシンセサイザーを駆使したサウンドは、当時の若者に大きな衝撃を与えた。
その影響は音楽だけにとどまらず、ファッションや髪型などにも及び、一種のカルチャーとして熱狂的に受け入れられた。
選曲してくれた“WAR HEAD”は坂本龍一の記念すべき1stソロシングル。テクノトラックに、クリス・モズデルのラップが乗る前衛的なプロダクションとなっている。

CHOICE 2
ロックで好きな曲
Ultravox“Vienna”

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Vienna
Ultravox

ジャンル: ロック, ミュージック

「80年代ニューウェイブの最高峰の曲ですよね。アナログシンセの音が新鮮です!2000年代にもリバイバルでニューウェイブが来ましたが、20年周期くらいでトレンドがやってきますね。個人的にはいまは90年代リバイバルですが、いまでも昔の曲の4つ打ちリミックスがあったりして、80年代の影響はいまだに色濃いと思います」

パンク~ニューウェイブの最盛期と多感なティーンの時期が重なっているDJ TSUYOSHI。
ウルトラヴォックスは、UKニューウェイブを代表するバンドのひとつで、1980年にリリースしたアルバム「Vienna」の表題曲をセレクトしてくれた。
ウルトラヴォックスの最大のヒット曲でもあり、ニューウェイブ~ニュー・ロマンティックのクラシックでもある。
DJ TSUYOSHIもコメントしているが、音楽トレンドの周期ゆえか、いま聴いてもなお新鮮!

CHOICE 3
92年の渡英時に、衝撃を受けた曲
LEFTFIELD feat. John Lydon“Open Up”

「僕がロンドンに行った頃は景気の悪い時代だったので、その反動で音楽は非常に面白かったですね。パンクが生まれた時代に似ていて、スクワッドパーティーやウェアハウスパーティーが至る所で開催されていた。
いわゆる“セカンド・サマー・オブ・ラブ”のど真ん中だったので、本当にとんがってました。
この曲は、セックス・ピストルズのジョン・ライドンがテクノをやった曲。UKなのでパンクがすごく根付いていて、そこにテクノやハウスなどのダンスミュージックが混ざったのは、衝撃的でしたね。」

80年代後半から90年代前半にかけて、UKを中心に巻き起こった音楽的革命“セカンド・サマー・オブ・ラブ”。そして、その後に続く“マッドチェスター・ムーブメント”と、現行のダンスミュージックを形成するプロセスで最も重要な時期、DJ TSUYOSHIはその中心地にいた。
この時期は社会情勢の影響もあり、享楽的なアシッド・ハウスが爆発的に流行。各地で野外レイブが開催され、政府が取り締まる事態にまで至った。行き場を失ったパーティーピープルは、工場や空きテナントでパーティーを開催するようになる。
DJ TSUYOSHIが語っているのは、ちょうどこの頃。パンク~ロックとアシッド・ハウスが融合し、革新的なサウンドが多数生まれたが、そのなかでもジョン・ライドンがテクノ・デュオ:レフトフィールドとコラボ楽曲を発表したのは、その象徴的な事柄のひとつ。

CHOICE 4
世界のフェスで聴いて記憶に残っている曲
The Chemical Brothers“Hey Boy Hey Girl”

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Hey Boy Hey Girl
The Chemical Brothers

ジャンル: エレクトロニック, ミュージック, ダンス, エレクトロニカ, ジャズ, バップ, ブレークビーツ, オルタナティブ

「確か1997年の『グラストンベリー・フェスティバル』だったと思うんだけど、テクノで数万人のオーディエンスを熱狂させたってのは、とんでもないことだよね。
楽曲自体は、まだリリースされていなかったんだけど、オーディエンスはこの曲が流れた瞬間に大興奮(笑) 音楽と映像のシンクロもハンパじゃなかったし、とにかくすごかった!
彼らの魅力は独特のグルーヴとサンプリングのセンス。ジャンルレスに組み合わせたサウンドは、一見大味っぽいけど、実はすごく緻密に作っているよね」

UKが誇る世界最強のダンス・アクトとして君臨するケミカル・ブラザーズ。2015年の『SUMMER SONIC』でヘッドライナーを務めたことも記憶に新しいが、彼らの熱狂的なライブの中で今も語り草となっているのが、1997年の『グラストンベリー・フェスティバル』。
アルバム「Dig Your Own Hole」が全英1位を獲得し、彼らが最も勢いに乗っていた時代。そんな時に2人の超強烈なライブパフォーマンスを生で観たなんて、羨ましい!

CHOICE 5
野外でこそ聴きたい(プレイしたい)曲
SUGIZO“ENOLA GAY(JOUJOUKA REMIX)”

「手前味噌で申し訳ないんですけど、ロンドンで知り合ったSUGIZOの“ENOLA GAY”の、自分のバンドリミックスです。
ケミカル・ブラザーズの影響もあるんですが、生ドラムのサンプリングやギターが絡むサウンドに、トランス系のサウンドが入ってて、野外で爆音で聴くには最適だと思います」

日本を代表するギタリスト:SUGIZO。LUNA SEA、X JAPANでの活動が著名だが、その音楽性は実に多岐にわたっている。
彼のこうしたダンスミュージックやエレクトロニック・ミュージックとの融合は、ジュノ・リアクターとの共作やソロでの諸作でも知られるところ。
この“ENOLA GAY”は、2011年リリースのアルバム「FLOWER OF LIFE」の収録曲。DJ TSUYOSHIのユニット:JOUJOUKAによるリミックスは、さらに重層的になったサウンドと溢れる躍動感で、野外で聴いたら間違いなく気持ちいい!

CHOICE 6
HIPHOPで好きな曲
Afrika Bambaataa & Soulsonic Force“Planet Rock”

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Planet Rock
Afrika Bambaataa & Soulsonic Force

ジャンル: エレクトロニック, ミュージック, ダンス, テクノ, R&B/ソウル, ヒップホップ/ラップ, オールド・スクール・ラップ

「ヒップホップといえば、やはりここから始まったという印象が強いですね。この曲が出た頃から近田春夫さんがいきなりアディダスとか着始めて、ショックを受けたね(笑)
他ジャンルにもすごい影響を与えたし、PVも当時としてはすごく革新的なアートが詰め込まれていた。ジャンルに関係なく最重要な1曲だと思います」

改めてDJ TSUYOSHIのキャリアを振り返ると、音楽史の大きなターニングポイントを多々くぐり抜け、体感してきていることがわかる。ヒップホップも例外ではなく、多くのパンクスがBボーイに移り変わる瞬間も目の当たりにしていた。
ご存知、アフリカ・バンバータは、ヒップホップ創始者のひとり。“Planet Rock”(1982年)は、音楽的構造はもちろんのこと、ヒップホップを形成する4大要素(DJ/ラップ/ブレイクダンス/グラフィティ)を詰め込んだMVも相まって、ヒップホップが市民権を獲得していく過程で重要な役割を果たした。

CHOICE 7
TSUYOSHIさんの近作のなかからオススメを1曲
JOUJOUKA“Fileter Rock”

「これは2015年12月にリリースしたJOUJOUKAのEPの表題曲ですね。最近はこんな感じです」

2016年の夏に向けて、待望のオリジナルアルバムを鋭意製作中であるJOUJOUKA。リリースされたばかりのこの曲が、新アルバムの方向性を探るヒントになるかも。
90年代のフレイバーを現代にアップデートしつつ、空間的なサウンドとロックのアティテュードが見事に融合した、さすがの1曲!

DJ TSUYOSHIといえばソロやJOUJOUKAでのサウンドのイメージが強かったが、80~90年代の貴重な音楽的事象とリンクしながら各年代/ジャンルの代表曲を追っていく内容には、非常に好奇心を煽られた。
パンク~ニューウェイブから初期テクノ、セカンド・サマー・オブ・ラブ~マッドチェスター期のUKでの貴重な体験を交えた選曲には、実に説得力があった。これを聞いた若いリスナーが現在のジャンルやシーンの成り立ちに興味を持ってくれるとうれしい。
現行のダンスミュージックシーンは、DJ TSUYOSHIのような偉大な先駆者が試行錯誤の末、築き上げてきたものなのだ。
音楽は徐々に変化して現在の形になり、今もなお変化し続けている。今回はそんな音楽史と深くリンクした、濃い内容となった。

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