伝説のクラブ:芝浦GOLDでキャリアをスタートさせたDJ SHINKAWA

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第35回目のゲストはDJ SHINKAWA、ロンドンでクラブミュージックの洗礼を受け、帰国後に伝説のクラブ:芝浦GOLDでデビュー。その後、オリジナリティあふれるプレイスタイルと楽曲で、国内トップDJとして知られるようになり、数多くのレギュラーパーティでレジデントDJを務める。さらに海外でのフェス出演やツアー等でも高い評価を獲得するなど、現在でも第一線で活躍を続けるスターDJである。そんな彼のバックグラウンドを選曲から紐解いていく!

CHOICE 1
DJ SHINKAWAが多大な影響を受けた1990年代のロンドンクラブシーンを象徴する1曲
X-Press 2“Muzik Xpress”

「日本でもテクノやハウスのシーンがあったんですが、インターネットもない時代なんで、ロンドンのクラブでかかっていたのは聴いたことのない曲ばかりでしたね。
現地で体験したことはまさに衝撃的なことばかりでした。僕はよく『TRADE』というゲイ・パーティに行っていて、よくこの曲がかかっていたんです。
そこでYO-CというDJに出会ったことがきっかけで、帰国後、DJ キャリアをスタートすることになります」

言わずと知れたハウス界のスーパースター、X-Press 2。この“Muzik Xpress”(1992年)は、ハードハウスシーンの頂点に君臨していたジュニア・ヴァスケスにヘビープレイされたことで全世界においてヒットを記録、X-Press 2の名をスターダムに押し上げた。
ハードハウスはゲイ・カルチャーと密接にリンクして、徐々に拡大・発展を遂げ、DJ SHINKAWAの名も国内で高まっていくことになる。

CHOICE 2
伝説のクラブ:芝浦GOLDを思い出す1曲
Shawn Christopher“Don’t Lose the Magic(Hitman’s 12”)”

「芝浦GOLDは、1階から6階まですべてがクラブになっていて、アンダーグラウンドな雰囲気がとにかくすごかった。この場所から新しい文化が発信されていく、そんな感じでしたね。ジャンルもいまほど細分化されていなかったので、いろんなジャンルから尖った人たちが集まる刺激的な場所でした」

ショーン・クリストファーは、リル・ルイスにフィーチャーされた“French Kiss”や“Another Sleepless Night”など1990年代に多くのフロアアンセムを生み出した名女性シンガー。“Don’t Lose the Magic”(1992年)も大ヒットを記録した彼女の代表曲のひとつ。
無数のリミックスも生み出され、世界中の夜を彩った彼女の声は、芝浦GOLDでも象徴的だった。この1990年代前半の芝浦GOLDは全盛期。東京中のオシャレさんが集まり、華やかさと妖艶さに満ち満ちたスポット、日夜“なにかが起こる”といった期待感が渦巻いていた。

CHOICE 3
“客観的”にみて、2000年代に流行っていたなあと思う曲
Gouryella“Ligaya(Green Court Remix)”

「2000年代は、いまのEDMみたいにトランスが流行っていた時代です。グリエラは、システム・F(フェリー・コーステン)とティエストという当時のトランスシーンを代表するアーティストのユニット。攻撃的なリズムと美しいメロディラインのせめぎ合いが素晴らしいですね。
00年代は、ハウス、テクノなどそれぞれのシーンが確立されていて、成熟してきた時期だったと思います」

DJ MAG誌の名物企画『TOP DJ 100s』の1位に輝くこと3度。最新のランキングでも5位につけるなど、15年以上にわたり世界のトップDJに君臨しつづけているティエスト。そして、システム・F名義で、トランスシーンを中心に数々のヒット作を生んできたフェリー・コーステン。このふたりのレジェンドがタッグを組んだ伝説のユニットが、グリエラだ。
トランスシーン全盛のなかで、他の追随を許さない圧倒的な存在を見せていたグリエラだが、2000年にティエストはソロでの活動に重きを置くため脱退するが、フェリー・コーステンはグリエラ名義での活動を継続。2002年にリリースしたのが、この“Ligaya”。
トランスならではの空間的なシンセリフと、美しいメロディ、透明感のあるボーカルが融合した傑作である。

CHOICE 4
“主観的”にみて、個人的に思い出深い2000年代の曲
DJ SHINKAWA VS Future Breeze“The Moon”

「僕はもともとハードハウスというジャンルでDJをやっていたんですが、徐々にトランスのパーティにも呼ばれるようになりました。この“The Moon”は、1990年代後半に僕がリリースした“Circuit On The Monn”と、フューチャー・ブリーズの“Temple Of Dreams”が合体したような、個人的には最強の曲ですね。
自分のプレイでもクライマックスでかけることが多くて、いわゆる“お約束”的な曲になっています(笑)」

DJ SHINKAWAの代名詞とも言える楽曲がいよいよ登場。哀愁系トランスの代表曲として名高い“Temple Of Dreams”に、自らのエッセンスをこれでもかと注入したこの“The Moon”。よりヘビーになったボトムラインが中盤のピアノリフの哀愁をより強くし、抑揚も抜群。超強力なキラートラックである。ちなみに、コメントにある“Circuit On The Moon”とこの“The Moon”のほかに、“Funky Moon”という曲もある。DJ SHINKAWAがクリエイティビティを喚起されるのは、“月”なのかもしれない。

CHOICE 5
世界にもっと知って欲しい日本人アーティストの曲
Sober“Screwy(DJ Shinkawa & Tarot Remix)”

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Screwy(DJ Shinkawa & Tarot Remix)
Sober

ジャンル: ダンス, ミュージック, ハウス, エレクトロニック

「Soberは、現代音楽家の小林 悟さんとボーカルの星野晃代ちゃんによるユニットです。星野晃代ちゃんは、昔からの付き合いなんです。15年くらい前の僕のアルバムに参加してもらったり、芝浦GOLDのフードコートでローラースケートを履いてウェイトレスをやっていたり、ageHaでもローラースケートを履いて活躍しています。
この曲のプロデュースを、東京女子流やMISIAなどJポップのヒットメイカーである松井 寛さんが手がけています。また、僕もリミックスさせてもらってます(笑)」

長年付き合いのある星野晃代のユニットをセレクト。原曲は、心地よいパーカッションと不規則なリズムから、星野晃代のスポークンワード的なボーカルとねじれた(スクリュー)エレクトロ音が非常にサイケな作りに。ちなみに“Screwy”という曲名は、KO KIMURAが命名している。ユニット名であるSoberは、日本語で“しらふ”という意味で、まさに“しらふ”でもトリップできる良曲。でも、実は星野晃代の実家がソバ屋であることが由来だとか…。

CHOICE 6
とにかくハッピーになれる曲
The Power Station“Some Like It Hot”

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Some Like It Hot
The Power Station

ジャンル: ダンス, ミュージック, ハウス, エレクトロニック

「“ハッピー”で思い浮かんだのが、1980年代の曲。そのなかでも、デュラン・デュラン、ロバート・パーマー、シックと“全部盛り”なこの曲がいいかな、と。いまでは、ロバート・パーマー、シックのバーナード・エドワーズ、トニー・トンプソンが他界してしまいましたが…。PVもかっこいいです!」

1985年に結成されたザ・パワー・ステーションは、夢のようなバンドだった。
当時“The Reflex”が世界中で大ヒット、大きな成功を収めていたデュラン・デュランからは、アンディー・テイラーとジョン・テイラー。そして、ヨーロッパで高い評価を獲得していたシンガー、ロバート・パーマー。あのナイル・ロジャースが在籍していたファンクバンド、シックからは、トニー・トンプソンとバーナード・エドワーズが参加するというドリームチーム。もうこの事実だけで、“ハッピー”。
彼らの記念すべき1stシングルがこの“Some Like It Hot”である。

CHOICE 7
最近の若いモノの曲
Metodi Hristov“On My Way”

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On My Way
Metodi Hristov

ジャンル: テックハウス

「基本、新譜はBeatportでチェックしていますね」

新譜は、BeatportでチェックするというDJ SHINKAWA。セレクトしたのは、ブルガリア人DJのMetodi Hristov。“On My Way”は、ハウス~テクノシーンのトップDJであり、数々のアンセムを生み出してきたStefano Noferiniとの共作。こういった大御所との共演も実現させるあたり、今の若手の注目株と言えるだろう。

CHOICE 8
最近のDJ SHINKAWAはこんな感じ!自身が最近手掛けた曲のなかからオススメを1曲
DJ Shinkawa and Tarot“COME WITH ME”

「久しぶりに歌モノに挑戦しました! 2015年は3曲リリースしたのですが、その中の1曲です。
2015年の夏くらいに、Tarotさんと一緒に制作をして、Alpha One Netというレーベルからリリースしました。
今年は、DJ Shinkawa and Tarot名義で10曲くらい作る予定です」

近年は、Tarotとのコンビでの制作が目立つDJ SHINKAWA。TarotはNYでエンジニア、プロデューサーとして活躍したキャリアを持っており、UKでクラブミュージックの洗礼を浴びたDJ SHINKAWAと創りだすプロダクションは唯一無二。2016年は、10曲ほどの制作を予定しているとのことで、期待大!

1990~2010年代と20年以上にわたり、ハードハウス~トランスシーンを牽引し続けてきたDJ SHINKAWA。35回目を迎えるRDMSにおいても、独自性の高い選曲が目立った。
当時のトランスブームを体験した方はノスタルジーを感じるかもしれないし、知らなかった方は「20年前にこんな曲があったのか!?」と驚くかもしれない。
“ローマは一日にして成らず”ではないが、選曲にもその名が出てきたティエストや、DJ SHINKAWAと同時期から活躍を続けるアーミン・ヴァン・ブーレン、そして、DJ SHINAKAWAらの偉大な先達がいたからこそ、現在のシーンが形成されていることが理解できる。

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