カラオケの十八番は“人間発電所”、VERBALが登場!!

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第39回目のゲストは、VERBALが登場!ご存知m-flo、TERIYAKI BOYZとして数々のヒット曲を生み出し、ソロDJとしても精力的に活動。またAMBUSH®などのジュエリーブランドを展開し、その独自のファッション感覚にも注目が集まっている。
最近では、EXILE HIRO、DJ MAKIDAI、DJ DARUMAとともにPKCZを結成するなど常に新しいムーブメントの中心にいるVERBAL。そんな彼のバックグラウンドと最新の音楽傾向に注目!

CHOICE 1
学生時代を振り返って…
相棒☆TAKU TAKAHASHIとの思い出の1曲
Public Enemy“Fight the Power”

itunes

Fight the Power
Public Enemy

ジャンル: ヒップホップ/ラップ, ミュージック, イースト・コースト・ ラップ, ハードコア・ラップ

「高校が男子校だったので、女子校とダンスパーティをやる機会があったんです。学校の食堂が会場で、そのときから☆TakuはDJをしていて、僕はラップをしていたんです。m-floの走りみたいなもんですね。
そのときに☆Takuがかけていたのが、この曲。当時ダンスパーティは珍しかったと思います。☆Takuがいちはやく機材を揃えていたので、よく家に行って遊びで楽曲制作をしていましたね。よく家に行って遊びで楽曲制作をしていましたね。
☆Takuとは小学校5年生くらいからの付き合いなんですよ(笑) 長いですね~。当時はm-floではなく、“NMD=Notorius Music Division”というバンド名でした」

高校生のダンスパーティという甘酸っぱいキーワードに加え、そこでDJをしてラップをするという“モテ要素”しか感じないエピソード。
思い出の1曲に挙げたのは、過去にこのコーナーでも何度か選曲されてきたパブリック・エネミーの“Fight the Power”。言うまでもなくヒップホップ史でも最重要曲のひとつだ。
やはりシーンを代表するアーティストになる人物は、若い頃から尖ったエピソードを持っているのだな、と納得させられる。高校生から機材を揃えて楽曲制作、というのは今ならいざ知らず、20年以上前ではかなり珍しかったはず。

CHOICE 2
キャリアを振り返ってみて、ターニングポイントとなった曲
Buddha Brand“人間発電所”

「最初は英語だけでラップをしていたんですが、それは日本語でラップする感覚がわからなかったから。大学の時に、『さんピンCAMP』というイベントがあって、伝説的なアーティストがたくさん出演していたんですが、そのなかでもBuddha Brandさんの英語と日本語を“ちゃんぽん”にしたバイリンガルラップに衝撃を受けました。
バランス感覚もそうですけど、“マウント富士山”とか意味を重複させるところも、なんかすげーアーティスティックで、いまだにカラオケの十八番ですね(笑)」

日本語と英語が折衷したバイリンガルラップに加え、一見ナンセンスにも思える独特過ぎる言葉遣いは、90年代の国内ヒップホップシーンに大きな衝撃を与えた。国内ヒップホップシーンを語る上で避けて通ることのできない伝説のイベント『さんピンCAMP』(1996年)には、Buddha Brand、RHYMESTER、キングギドラ、SHAKAZOMBIE、LAMP EYEら、そうそうたる面々が出演。日本のヒップホップの夜明けとなった。

CHOICE 3
“いまの東京”を感じる曲
KOHH“LIVING LEGEND”

「KOHHくんは、本当に全部ヤバいですね。“JUNJI TAKADA”(KOHHの2ndシングル)のときからヤバくて、ツボの押さえ方がハンパじゃない。僕たちの世代が、『こうだったらいいのに!』って思っていたことを、すべてやってくれている。本当にすごいですよね。同世代だったら、完全に憧れの対象です。
今の東京は、また新しいムーブメントが起こりそうな気がしていますね。Licaxxxちゃんもそうだけど、若い世代が面白い。例えば、カセットテープとかアナログが一周して新しいと感じられていたりするので(笑)」

現行シーンの象徴とも言えるKOHH。“適当”を標榜したゆるい脱力スタイルに、斬新なトラックと現代社会の空気を絶妙にまとったラップ、そして強烈なメッセージ。リスナーはもちろんのことアーティストたちからも熱いリスペクトが寄せられている。
一躍彼の名を知らしめたのは、2ndシングル“JUNJI TAKADA”。KOHHのスタイルを体現した1曲であるが、この“LIVING LEGEND”は絶叫にも似た狂気じみたラップを爆発させており、KOHHの凄味をもっとも感じることができるはず。

CHOICE 4
いま世界で注目している都市と、その都市に関連する曲は?
A TRIBE CALLED QUEST“CAN I KICK IT?”

「つい最近ニューヨークに行ってきました。カニエ・ウエストのブランド“YEEZY” のSEASON3のショーと彼の新作の試聴会に誘われたんです。他にも現地の最新アートのムーブメントを見てきましたけど、本当に刺激的な街ですね。
この曲は僕の青春ですし、ア・トライブ・コールド・クエストがいなかったら、いまのヒップホップはなかったんじゃないかって思っています。“ニュースクール”というシーンの先導役で、当時はすべてが新しかったです」

2016年2月に開催されて話題になったカニエ・ウエストのニューアルバム『Waves』のお披露目会は、世界20カ国以上でストリーミング中継が行われた。日本では残念ながら公開はなかったが、VERBALはカニエ本人から誘われ、会場であるマディソンスクエア・ガーデンへ。その時の刺激的な体験から、注目している都市はニューヨーク。そして、アーティストには、ア・トライブ・コールド・クエストをチョイス。
Qティップなどニューヨーク出身の4人組ユニット、ア・トライブ・コールド・クエスト(ATCQ)。彼らはヒップホップにジャズの要素を盛り込んだスタイルで90年代にシーンを席巻したが、先日、メンバーであったファイフ・ドーグが45歳の若さで他界したという悲報があったばかり。R.I.P.

CHOICE 5
つかの間の休息の時間に聴きたい曲
Billie Holiday“I’m a Fool To Want You”

itunes

I’m a Fool To Want You
Billie Holiday

ジャンル: ジャズ, ミュージック, ロック, ブルース, シカゴ・ブルース, ヴォーカル, トラディショナル・ポップ, ヴォーカル・ジャズ

「僕をジャズリスナーにしてくれたのが、高校時代の理科の先生なんです。いつも“ヒップホップばかり聴いてます”って感じの生徒だったので、『俺がお前をジャズリスナーに変えてやる』って先生に言われて、ジャズのミックステープをくれたんです。そこにビリー・ホリデイが収録されていて、超ハマっちゃいました。僕はもうおっさんになってしまったんで、お酒を飲みながら、ゆっくり聴きたくなりますね。」

高校時代の先生とのほのぼのとしたエピソードを披露。歴代の女性ジャズシンガーのなかでも屈指の、偉大なる功績を残したビリー・ホリデイ。その表現力豊かな歌声と、その裏にあった壮絶な人生は、多くのアーティストに影響を与えた。

CHOICE 6
攻めてるなあと思う曲
Kanye West“Facts(Charlie Heat Version)”

「いろんなブランドとの揉め事を綴った歌詞で、自分のブランドがジョーダンを超えたとかって言ってるんですよね。日本だと完全にご法度です(笑) それを全部ネタにしているのが、すごいです。個人的にアディダスとタッグを組んだ経緯などを聞いていて、それが曲になっていたのでリアルに感じました。50億円以上借金があるとか、普通に公言していますし、攻めてます」

歯に衣着せぬ物言いとは、まさにこのこと。アディダスと契約を交しているカニエ・ウエストが、ライバル企業であるナイキをこきおろす際どいリリックは、まさに日本じゃ不可能。ときには企業よりも大きな影響力を持つアメリカのスーパースターだからこそ成せる荒業と言える。

CHOICE 7
春間近!「春」or「花」と聞いてパッと思い浮かんだ曲
Crystal Kay feat.今市隆二“Very Special”

「原曲がもともと大好きで、日本語でカバーしちゃうのがズルいなって。過去にもさまざまな豪華メンバーによるカバーを聴いてきましたが、これはデュエットでいいですよね。
今年の春こそは、お花見をしたいですね。毎年いろいろなタイミングが重なってしまい、結局お花見ができていないんですよ(笑)」

2015年12月にリリースされたCrystal Kayのニューアルバム『Shine』に収録された今市隆二(三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE)との豪華共演曲「Very Special」。もともとはデブラ・ロウズによる1981年のデビューアルバムの表題曲で、R&Bのクラシックだ。
ビッグ・ダディ・ケインやジェニファー・ロペスなどにもカバーやサンプリングをされるなど、いまだ色褪せることのないこの名曲を日本語でカバー。若い世代には過去の名曲を知ってもらい、リアルに体験した世代にもグッとくる、カバーのお手本ともいうべき1曲。

CHOICE 8
最近のVERBALのオススメの1曲は?
Fais ft. Afrojack“Hey”

「友人であるアフロジャックのレーベルのシンガー、フェイスの曲です。プロデュースはもちろんアフロジャック。彼は本当に親日家で、日本語を勉強していたり、いいヤツです」

EDMのスーパースター、アフロジャックが立ち上げたレーベル:Wall Recordingから、今年2月にデビューしたフェイスの楽曲。フェイスはアフロジャックの幼なじみであり、ワールドツアーにも帯同。満を持してのデビュー曲は、今年のアンセムになりそうなロマンティックかつメロディアスな一曲。

音楽制作を始めた高校生時代から、現在に至るまでの8曲を選曲してくれたVERBAL。やはり影響を受けたヒップホップ楽曲が多めとなったが、Buddha BrandにKOHH、カニエ・ウエストやATCQなど、国内外・新旧問わずに、自身の琴線に触れた楽曲をセレクトしてくれた。
長いキャリアを通じて常にフレッシュであるためには、新しいものを取り入れる柔軟性を失わないことが必要不可欠。
それは決して簡単ではないが、VERBALは独自のフラットな感覚によって、常に斬新なクリエイティビティを発揮できているのだろう。

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