世界ベースミュージックシーンをリードするPART2STYLE SOUNDからNisi-pが登場

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第42回目は、日本人にして世界ベースミュージックシーンをリードするPART2STYLE SOUNDからNisi-pが登場! “フューチャー・ラガ”を掲げ、ダンスホールレゲエを軸に、ありとあらゆる音楽ジャンルをミックスするスタイルは唯一無二! 世界最大のベースミュージックフェス『Outlook Festival』にも何度も出演し、日本での開催を実現するなど、ベースミュージックシーンのトップを走りつづけている。そのオリジナリティ溢れるサウンドには一体どんなバックグラウンドがあるのか!?

CHOICE 1
これは100点だと思えるクラシック曲
Herbie Hancock“Rockit”

「1984年のグラミー賞でのライブを観て、初めて“DJ”というものを意識させられた曲です。ちょうどVHSが一般にも普及してきた時代で、兄貴が友達から借りてきたVHSテープを観たんですね。ハービー・ハンコックがショルキー(ショルダーキーボード。肩から吊るすことができる)で演奏して、周りにはロボットダンサーやマネキンやらが出ていて、音も映像も『なんだ、こりゃ!?』って衝撃を受けました(笑) 僕にとっての永遠のクラシックですね」

レゲエ~ダンスホール系のサウンドが来るかと思いきや、ジャズシーンのカリスマ、ハービー・ハンコック。オーセンティックなジャズから、フューチャー・ジャズまで数々の名作を生み出し、グラミー賞の受賞は数えきれないほどのレジェンドだが、その影響はダンスミュージックシーンにおいても多大。その代表例がこの「Rockit」で、スクラッチを大胆に導入した楽曲となっており、ヒップホップとの融合を果たした音楽史に燦然と輝く革新作である。

CHOICE 2
海外でも活躍するPART2STYLEにあえて聞く、これぞニッポンの心!日本人らしさを感じる曲

itunes

Technopolis
YMO

ジャンル: エレクトロニック, ミュージック, オルタナティブ, ニューウェイヴ, ポップ, ロック, クラシック, Modern Era

「これぞ日本の心!ですが、いちばん難しいセレクトでしたね。日本、日本…東京、東京って考えていたら、トキオ~!ってことでこの曲になりました(笑) クラフトワーク等に代表される初期テクノを、ニューウェイブやフュージョンの要素を入れて昇華させてる感じが、とても日本人らしいなと。日本の繊細らしさも感じましたね。当時まだ、海外の音楽ファンから見たら中国や韓国、日本の違いが分からないという人も多かった頃に、それを逆手に取って、人民服を着たところとかも面白かったですね。僕のようなアンダーグラウンドシーンから見ると、お客さんのノリが全然違いますね。ラジオのカルチャーが根付いているので、どんなドープな音楽をかけてもシリアスにならないで『うひゃーー!!』って盛り上がってます(笑)」

またもや本来のスタイルであるジャンルとはかけ離れた選曲。東京=TOKYOは、海外のいくつかの国では発音しづらいこともあり“TOKIO=トキオ”と表記されることもあり、YMOのこの曲では“TOKIO~”のボイスサンプリングが多用されている。
Nisi-pのコメントにもある通り、テクノに独自の解釈でニューウェイブやフュージョンの要素を入れ込む器用さは、確かに “日本人らしさ”と言えるかもしれない。

CHOICE 3
この感じは今までになかったかも、この曲はあたらしい!
Dillon Francis“We Make It Bounce feat. Major Lazer, Stylo G”

「僕らはフューチャーラガ、フューチャーダンスホールというのを提唱していて、レゲエに多ジャンルの音楽を取り入れたアーバンなサウンドを目指しているんです。EDMが流行った時にいろいろなものを聴いて…、実はほとんどの曲にガッカリしました(笑) でもそのなかで、ありそうでなかったEDMとダンスホールレゲエが見事にマッチしたこの曲は、僕らのスタンスに近いものを感じましたね。また、あたらしい!とも思いました」

サウンド面でのドープさとキャッチーさの融合を模索し続けてきたPART2STYLE SOUNDの音楽志向にピタリとハマったのが、ディロン・フランシスの「We Make It Bounce」。EDMシーンは進化のスピードも早く、様々なジャンルとの融合実験的作品も見られるが、ダンスホールレゲエとの融合は、ディプロによる
メイジャー・レイザーがその先駆者。メイジャー・レイザーもややポップ寄りではあるが、ディロン・フランシスと組むことでズッシリと重たいベースラインとキャッチーさが共存した秀曲が完成した。

CHOICE 4
バンドサウンドの好きな曲
Third World“Try Jah Love”

「ボブ・マーリー以降のルーツレゲエの流れで、インナー・サークルやサード・ワールドといったバンドがいて、僕はレゲエというのもわからないまま、アース ウィンド&ファイアなどと同列のディスコチューンとして当時は聴いていました。サビの情熱的なメロディが頭の中でずっと流れていて、脳内ヘビーローテーションされてました」

1970年代から活躍し、ソウルフルでファンキーなディスコをレゲエに取り入れたバンドスタイルを体現、世界中に大きな影響を与えたサード・ワールド。レゲエのイメージを刷新した功績は計り知れず、現在でも現役というモンスターグループである。そんな彼らの代表曲である「Try Jah Love」のプロデューサーは、なんとスティービー・ワンダー! 南国気分満載の陽気なディスコチューンは、日本でもディスコクラシックとして高い人気を誇っている。

CHOICE 5
マニアックだけど紹介したい、カッコいい曲
Malleus“No harm(PART2STYLE SOUND Remix)”

「マルウスという曲を、僕たちがリミックスしたものになります。USのレゲエやダブでは、インターネットには音源をアップせずにアナログレコードでしかリリースしないレーベルが少しずつ増えていて、この曲はそんな中から、Grand Ancestorというレーベルからのリリースになります。レコードでしか手に入らない曲です、僕らが流出しない限りは(笑) 僕らが手掛けた作品としては初めてのインスト曲で、普段の雰囲気とは違うドープな一面が聴けると思います」

近年、音楽はパッケージからダウンロード、さらに定額ストリーミングなど販売フォーマットが進化しているが、その一方で売上を伸ばしているのがアナログレコード。でんぱ組.incやももいろクローバーZなどメジャーアーティストがアナログ盤をリリースするなど、そのムーブメントの一端は日本でもうかがい知ることができる。とは言え、一般リスナーがなかなか手に入れにくいアイテムであるのも事実。そんな貴重な音源をオンエアできたのは非常にありがたい。ぜひ現場でも体感してほしい1曲だ。

CHOICE 6
近頃のPART2STYLEはこんな感じ!最近よくプレイするお気に入りの1曲
Dub Phizix & Ward 21“Doberman”

「ハーフステップ系ドラムンベースのプロデューサーとして、もっとも旬なマンチェスターのダブ・フィジックス。彼がジャマイカのダンスホールのシンガーであるワード21を起用した1曲です。まさに僕らがやっていることにピッタリのサウンド。マンチェスターのドラムンベースシーンとは以前から親交があって、彼らのエクスクルーシブ曲をかけたり、インスト曲にアカペラを乗せた曲をプレイするんですが、そんな中で必殺技になる曲がひとつ増えたって感じです」

世界を股にかけて活躍するPART2STYLEは、特にヨーロッパで高い支持を獲得している。ダブ・フィジックスは、UKベースミュージックシーンを代表するアーティストであり、同曲は2016年の2月にリリースされたばかりの新曲。ヨーロッパではラジオカルチャーがいまだに強く根付いており、アンダーグラウンドで活躍するインディペンデントのレーベルやアーティストの音源を日本より遥かに多く聴くチャンスがある。そのエクスクルーシブなレア音源をマッシュアップするのがPART2STYLE SOUND。この最新楽曲を彼らがどのようにプレイし、必殺技へと昇華させるのか? こちらも現場で体験してほしい1曲だ。

ハービー・ハンコックからYMOなどラガ・ダンスホールとはかけ離れた印象のあるアーティストから、まさにPART2STYLEな楽曲まで幅広い選曲を披露してくれたNisi-p。“フューチャー・サウンド=未来の音楽”をクリエイトするには、過去の様々な音楽への造詣の深さがあってこそだと思わせる、充実の選曲内容だった。現在の音楽に対しても、ジャンルを問わず常にアンテナを大きく広げ、EDMが流行ればEDMを調味料にしてサウンドをクリエイトしてみるなど、常に実験精神を忘れないPART2STYLEのスタンス。それは“世界をリードするアーティスト”であり続けるためには必要不可欠なもののひとつなのだろう。今後、どのようなサウンドで我々をワクワクさせてくれるのか、引き続き彼らの動向には要注目だ。

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