ジャンルの異なる2人がタッグを組んだMonster Rionの反抗精神

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第45回目のゲストは、今後の国内ダンスミュージックシーンを語る上で欠かすことのできないSONPUBとThe BK Soundからなるデュオ、Monster Rionが登場!SONPUBは、エレクトロニックからヒップホップ、ベースミュージックなど様々なジャンルを駆使し、ダフト・パンク、カニエ・ウエスト、ディプロなど海外大物アーティストと多数共演。ファットボーイスリムのオフィシャルリミックスなども手がけてきた。
一方The BK Soundは、湘南乃風のセレクターとして国内外のイベントに多く出演。ソロアーティストとしても精力的にリリースを重ね、レゲエ~ダンスホールシーンを牽引するプロデューサーである。今回は、そんな異ジャンルを舞台にするふたりによるMonster Rionの音楽性を、選曲から紐解いていく!

CHOICE 1
青春時代の音楽的ヒーローの曲
SONPUBセレクト: OASIS“Champagne Supernova”

SONPUB: 「僕が中学3年生くらいのときの曲ですね。当時、野球部に入っていて、音楽もダンスミュージックも聴き始めていたのですが、いちばん好きなのがオアシスでした。野球部は、みんなが入っていたのでとりあえず所属していて、音楽のことばかり考えていましたね、そんな時に進路に悩んでいて、オアシスのイギリスの労働者階級の不良が成りあがっていく感じがすごく格好良くて勇気をもらいました。僕も地元がつまらなくて、海外行きたいなとか思っていたんです。実際にロンドンでライブのチケットを数回買ったんですが、全部オアシスはキャンセルしました(笑)」

1996年にリリースされたオアシスの2ndアルバム『Morning Glory』。本作は1000万枚以上のセールスを記録した彼らのキャリアでもっとも売れたアルバムであり、収録曲の「Champagne Supernova」は海外向けにシングルカットされた。周知のとおり、オアシスのメンバーであるリアム・ギャラガーとノエル・ギャラガーはとにかく奔放で、不祥事や問題発言などは数えきれず、むしろそこにこそロックのアティテュードを感じさせていた…のだが、SONPUBが実際にロンドンで体験したとおり、アナウンスされていたはずのライブの不開催が連続。そんなSONPUBの体験も、今となってはオアシスのバンド性を如実に示すおいしいエピソードだが、当時のがっかり感は相当なものだっただろう…

CHOICE 2
新しいトレンドを感じる曲
The BK Soundセレクト: Major Lazer“Blaze Fire feat. Chronixx”

The BK Sound: 2015年の曲ですが、ダンスミュージック全体でレゲエシンガーが起用されることが多くなってきたなと感じていて、この曲はその中でもレゲエマナーにきちんとのっとっていて、シズラのネタ使いも渋い。それでいて新しいことに挑戦していて、まさに21世紀型のダンスホールだと思います。

ラガ~ダンスホールのマナーを現代的なダンスミュージックに落とし込み、常に革新的なサウンドを生み出すディプロのプロジェクト:メイジャーレイザー。昨年リリースした特大アンセム「Lean On」で、一般層にもその名は知れ渡ることとなった。世界中の珍奇なリズムやサウンドを探し求めつづけてきたディプロは、セルアウトに走ることなく、そのオリジナリティゆえに評価されつづけてきた稀有なアーティスト。昨年はTwitterを発端としたテイラー・スウィフトとの喧嘩も話題に。その音楽性だけでなく、人柄もゴーイング・マイ・ウェイを地で行く人物だ。

CHOICE 3
メッセージに共感できる曲
The BK Soundセレクト: SONPUB“Dondada feat. Atsushi Horie”
SONPUBセレクト: Duck Sauce“Anyway(Original Mix)”

The BK Sound: 僕が選んだのは、相方の曲です(笑) 得意とするジャンルが異なる僕ら2人が組んでいる理由は、やはりお互いの音をリスペクトしているからなんです。SONPUBは、俺ができないことをやっているんですよね。“Dondada”というと、僕の中ではスーパーキャット(ダンスホールレゲエDJ)しかなかったんです(笑) だから、この曲を聴いたときは衝撃を受けて、いろいろSONPUBから話を聞きました。俺もこんな音を出したいなって思いましたね。

SONPUB: ありがとうございます! 俺もThe BK Soundの曲を選べばよかったな(苦笑) 僕が選んだのは、ダック・ソースの曲です。ライバルというと、おこがましいんですが、ライバル30%、あこがれ70%って感じですね。アーティストとしても、レーベルの運営者としても、すべてが好きですね。

<CHOICE3>は、2人に共通のお題で選曲してもらった。The BK Soundは空気をしっかり読んで(?) 相方であるSONPUBの代表曲「Dondada」(2013年)をセレクト。ストレイテナーのボーカル、ホリエアツシをフィーチャーした同曲は、キャッチーなメロディとフック、ロックとダンスミュージックが見事に融合したプロダクションでクラブアンセムとなった。同曲が収録されたアルバム「Mother Ship」に、The BK Soundは客演で参加(「International Sound」)。つまりこの曲はMonster Rion結成のきっかけとなった1曲と言えるかもしれない。
一方のSONPUBは、相方の曲ではなく(笑) アーマンド・ヴァン・ヘルデンとA・トラックというスーパースター同士のデュオ:ダック・ソースをセレクト。
EDMとは一線を画すグルーヴィーなディスコを斬新なプロダクションでヒット曲を連発している彼ら。SONPUBは、彼らの曲「NRG」をリミックスしているが、憧れを伴ったライバル、目指すべき存在であると発言。オリジナリティがあり、キャッチー。しかし、軸のブレない音楽哲学がある。こういったアーティスト像が理想なのだろう。

CHOICE 4
これはやられた!と思った他人のリミックス作品
Miguel“Do You…(Cashmere Cat Remix)”

SONPUB: 最初に原曲をジャイルス・ピーターソンがかけているのを聞いて『やばい!』と思って、曲を調べていたら、このリミックスは『もっとやばい!』って(笑) それまではトラックメイカーは経験値やスキルが重要だと思っていました。でも、カシミア・キャットはまだまだ若くて、“発想の転換”の重要さを改めて認識させられました。音の使い方やグルーヴ、力の抜け方、メロディ…すべてにおいていい意味での裏切りを感じました。とにかく自由な曲です。

SONPUBが“発想”“アイデア”に注目したのは、ノルウェーの新進気鋭のトラックメイカー、カシミア・キャット。2012年に発表したミゲルの「Do You…」や2チェインズのリミックスで一躍注目を集めると、アリアナ・グランデ「Adore」にフィーチャーされるなど、アメリカの音楽シーンで存在感を増してきている。金髪で長髪という中性的な風貌とあまりメディアに露出しないこともあり、非常にミステリアスなアーティストとしても知られていたが、今後はその名、その顔を多く目にすることになるはずだ。

CHOICE 5
Monster Rionの近作からおすすめを1曲
The BK Soundセレクト: Monster Rion“Monster Riot feat.JINMENUSAGI”

The BK Sound: 今日納品した、できたてほやほやの新曲です(笑) 僕たちの“攻め”の姿勢が現れていて、これからアンセムにしていきたいと思っている曲。いま話題のラッパーであるJINMENUSAGIくんをフィーチャーしています。グライムやダンスホールの要素を入れていて、 “フューチャーレベルミュージック”というような仕上がりになってます。

約11カ月ぶりとなるMonster Rionの新曲が登場。ジャマイカのレゲエアーティスト、ケイプルトンのボイスサンプルを使用したり、“Riot=暴動”の言葉のとおり激しい低音とウワモノが攻めてくる1曲。今後、MVも発表されるとのことなので、要注目!

ジャンルの異なる2人がタッグを組んだMonster Rion。そのコメントとチョイスした楽曲の時代性、背景を探ることで2人の共通項が自ずと見えてくる。それは、どのアーティスともかぶらない絶対的なオリジナリティ。そして、既成概念にとらわれない、自由奔放で激しい音作り。加えて言うなら、レベルミュージックの精神性、といったところだろう。
ロックにしろ、レゲエにしろ、ヒップホップにしろ、反抗の精神が根底に存在する。オアシス、メイジャーレイザー、ダック・ソースなどはそれらの音楽の新しいかたちを目指した開拓者と言える存在だ。Monster Rionはそこにキャッチーさを付け足すという高レベルな音楽作りを目指している。今後、さらに精力的になる彼らの活動に注目してほしい。

OTHER ARTIST
続けて読みたい! あなたにオススメの記事