i-depことナカムラヒロシがキャリアをスタートしたロンドンへ向かったきっかけとは!?

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第45回目のゲストは、i-depことナカムラヒロシが登場! 2000年にロンドンでi-depとしてキャリアをスタートし、DJ/アーティストとして活躍。イタリアのIRMA Recordsよりリリースされた作品が、逆輸入で日本でも大きな話題となり、多くのヒット曲を生み出す。帰国後は、カフェミュージック、カヴァーブームの火付け役となったSotte Bosseやプロデュースワークなど多岐に渡って活動中!

CHOICE 1
i-depがスタートしたロンドン時代の思い出深い曲
Artful Dodger“Rewind(Wideboys The Crowd Say Bo Selecta Remix)”

「ずっと三重県で瓦屋根職人をやっていたんですが、屋根から落ちたことがきっかけで、なぜかロンドンに音楽修業に行くことになりました(笑) それでヒースロー空港に着いたときに、かかっていたのがこの曲なんです。いわゆる2ステップというビートなんですが、当時はすごく衝撃を受けました。そのまま空港から曲名もわからないのにCD屋に直行しましたもん。家もないし、CDプレーヤーもないのに(笑) その後、アパートをルームシェアしたら、たまたまブラジル人のボーカルとポルトガル人のドラマーと一緒になりまして、夜な夜なセッションをするという楽しい毎日になりました」

空港でたまたま聴いた曲でレコードショップに直行する。なんという情熱的なエピソードだろうか。音楽は、時代によって大きな変革を見せリスナーに衝撃を与える。現在ならEDMで大きな衝撃を受け、音楽の楽しさを知った人も多いだろうし、1960年代にはザ・ビートルズが無数の人に影響を与えた。ナカムラヒロシにとって、そんな大きな影響のひとつがアートフル・ドジャーの「Rewind」だった。今では「SoundHound」や「Shazam」といったアプリで、気になった曲をすぐに知ることができるが、そんな便利なものがない時代、ナカムラはロンドンのHMVで、うろ覚えのメロディを歌ったり、ぼんやり覚えた歌詞の内容を伝えたりしたそうだ。苦労して手に入れた曲ほど忘れがたく、大切なものになる。リスナーのみなさんにも、そんな1曲があるのではないだろうか。

CHOICE 2
三重と東京を往復する日々を送るナカムラからみて“東京っぽさ”を感じる曲
Massan × Bashiry“B-step!”

itunes

B-step!
Massan × Bashiry

ジャンル: ヒップホップ/ラップ, ミュージック

「“音楽はどこでも作れる”というのを実践しようと思いまして、三重にも東京と同じ機材を置いています。都会である東京の良さと田舎である三重の良さ。その両方を感じることができていますね。二重生活をして感じたのは、“東京は人と出会う街”であること。人と作業して何かを生み出す街。三重は自分と向き合う街です。
Massan × Bashiryは、ラッパーとジャズギタリストのユニットで、人を巻き込んでいくのがすごく上手いんですよね。僕もたまたま三軒茶屋のカフェで出会って1曲プロデュースさせてもらいました」

まるでブラックミュージックのような深みのある特有のグルーヴがまとわりつくMassan × Bashiryのサウンド。ギターとボーカルだけのシンプルな構成ながらも、実にコクのある音楽でいま注目を集めているが、ナカムラヒロシが彼らの曲を選んだ理由は、その活動スタイルにある。東京は“人と出会い、なにか一緒に生み出す街”だと言い、Massan × Bashiryは実にうまく人を巻き込んでいくと指摘。Massan(ラップ)とBashiry(ギター)、それぞれがソロでもGAGLEやCOMA-CHIなどのアーティストと共演するなど活躍しており、今後どういったコラボレーションを生み出していくか、期待したい。

CHOICE 3
メロディセンスにやられた曲
SBTRKT“Never Never(feat. Sampha)”

「この曲とのファーストコンタクトは車の中だったんですけど、感動して危うく事故を起こしてしまうくらい涙が出てきました(笑) 4小節のなかですごく自由にメロディが泳いでいて、さらにいろいろなジャンルが入っているんです。一体どこからどうやって作ったんだろう!?って思いました。すごく実験的なのに、人を感動させることができる。『やりおるな~』と」

アフリカの部族を想起させる仮面をかぶったビジュアルでおなじみのサブトラクト。2011年のデビュー作『SBTRKT』に収録されているこの「Never Never」は、ボーカリストのサンファを起用した美しいメロディと縦横無尽なビートが乱れ飛ぶ快作。ガラージ、UKファンキー、インディ―ポップ、ダブステップなどアンダーグラウンドの粋を結集しながらも、リスナーを選ばずに感動させることができるのは、音楽構造の妙ゆえ。突飛なアイデアだけが人を驚かすのではなく、実験的な音楽のなかに軸となる哲学がなければ深い部分での感動は生まれないだろう。

CHOICE 4
トラックメイクの奇抜さ、発想力にやられた曲
Herva“Disk Atk”

「このドラムが生なんですよね~。この曲を聴いて、音楽を仕事にしてから、音楽をおもちゃにして遊ぶ時間が少なくなっていることに気づいたんです。実験してないな~って。制約抜きで「音楽を作っていた頃の自分になる」という時間を持つように心がけています。それこそ三重の実家の車庫で、ドラムを叩いて録音してみたり、ピアノを調律してみたり…音を鳴らす行為を、音楽家としてじゃなく“イチおっさん”としてやる。それをこの曲がきっかけで始めるようになりました」

“初心忘れるべからず”。音楽活動に限らず、どんな分野でも大事なことであるが、思い出すきっかけは、なかなか無かったりもする。ナカムラヒロシは、この曲がきっかけとなった。UKから常に最新のサウンドを届けてきた気鋭レーベル:Planet muからのリリース。音楽は本来、制約はなく自由であるものということを再確認することで、新しい発見もあったようで、今後のi-depにどのように活かされていくのか非常に楽しみだ。

CHOICE 5
若手世代で注目しているアーティストの曲
HVNS“DEMI”

「若い世代は器用な人が多くて、このHVNSもとても器用なアーティストなんですが、頑なに自分の理想の音楽を追い求めているような気がします。器用貧乏にならずにタフにいってくれよ、って思っています。いろいろなジャンルの曲を出していますが、統一された雰囲気があるのはすごくいいですよね。
若い人たちには、すべてに興奮してほしいですね。僕はロンドンに行ったとき、金がなくて『貧乏や~!』って興奮していましたから(笑) 作品にも、恋愛にも、性的にも興奮して、人生楽しんでほしいですね!」

次年代を担うと注目されるアーティストは、良い意味でフラットな感覚を持ち、常にフレッシュなサウンドを生み出しつづけている。HVNS(ハンズ)は、東京を拠点に活動をするプロデューサー。ナカムラヒロシは、新しい才能のなかでも彼の“朴訥さ”を評価。様々なジャンルのサウンドを操りながらも、その手触りや音質にはHVNS特有のものがあり、統一感がある。先日、新レーベル「8%」から「CHROME EP」をリリースしたばかりなので、ぜひチェックしてもらいたい。ナカムラヒロシからのもうひとつの提言は、“さとり世代”とも言われる若手に対し、なんでも楽しんで、興奮しよう!ということ。そんな感情がきっと新しいクリエイティブを生むはずだ。

CHOICE 6
近頃のナカムラヒロシはこんな感じ!最近手掛けた作品からオススメを1曲
i-dep“Perfect feat. Arvin homa aya & Shunske.G”

「最近すごく人気のあるカイゴなどに代表されるトロピカル・ハウスを作ろうと思ったんですが、完成してみると“トロピカル風味のi-dep”になってました(笑) 僕も頑なな部分があるみたいですが、興奮して作ったんでぜひ聴いてみてください!」

トロピカル・ハウスに挑戦したi-depの最新曲。クラブミュージックラバーにはお馴染みのシンガー、Arvin homa ayaの伸びやかなボーカルと“トロピカル風味のi-dep”サウンドが楽しめる1曲。もっと自由に、もっと遊びを入れて、とナカムラヒロシが楽しみながら作った最新曲、ぜひご堪能いただきたい。

飾らない自由な発想で、選曲理由もおもしろおかしく話してくれたナカムラヒロシ。定形を持たないバンドスタイルでジャンルレスな音楽を創造してきたi-depのサウンド同様に、その選曲もまた自由に国内外のアーティストをセレクトしてくれた。音楽は、自由で、もっと遊んで、楽しんで作る(聴く)べき! そんなナカムラヒロシのメッセージが込められたユニークな選曲となっている。

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