”次世代のTOKYO”を代表するアーティストTAARが登場

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第49回目のゲストは、東京を拠点に活動し、世界中から注目を集めているDJ/トラックメイカー:TAARが登場!DJデビュー後に、ヨーロッパを放浪。様々な音楽ジャンルが混ざったサウンドのなかにも一貫した軸が存在し、そのオリジナリティ溢れるスタイルで“次世代のTOKYO”を代表するアーティスト。海外サイトで、アヴィーチーやマヤ・ジェーン・コールと並び若手の注目アーティストに挙げられるなど、世界中から熱い視線が送られている。常に“最先端”を捉え続ける独自の視点のバックグラウンドに迫る!

CHOICE 1
子どもの頃、実家でかかっていた記憶がある曲
Lil Louis“French Kiss”

itunes

French Kiss
Lil Louis

ジャンル: エレクトロニック, ミュージック

「僕が幼稚園の頃、隣の部屋で爆音でかかっていました。隣は12歳離れている兄(RDMSにも登場したFake Eyes ProductionのDJ MAARのこと)の部屋で、この曲にはちょっとエッチなブレイクがあるんですが、当時はただうるさい曲だなって思ってましたね。兄の友達が遊びに来ていたときに、『TAARがいるのにこの曲かけていいの?』みたいな雰囲気になっていたのは覚えています。そして、ブレイクの真の意味がわかったのが中学生になってからです(笑) 家でハウスミュージックがかかっていたんだという印象がいちばん強い曲ですね」

シカゴ・ハウスを代表するレジェンド、リル・ルイス。彼の名前が世界に広がったのが、この「French Kiss」。“喘ぎ声ハウス”とも呼称される同曲は、そのインパクトも強烈だが、ハウスミュージックの地位向上に大きな貢献を果たしたクラシック中のクラシックでもある。しかし、幼稚園児がこの曲を聴いてしまうとは、すごい家庭環境である(音楽的に良い意味で) もしかしたら、TAARの人生はこの時にある程度、方向性が決まってしまった!?

CHOICE 2
ダンスミュージックで食っていこうと決意した頃に好きだった曲
Daft Punk“Face To Face”

「15歳の頃に聴いていました。決意みたいな感じではなかったんですけど、なんとなく音楽に囲まれて生活していきたいなと思っていました。初めてクラブでプレイしたのは、20歳の頃で渋谷のWOMBでしたね。」

ダフト・パンクの「Face To Face」は、コ・プロデューサー兼ボーカルに、トッド・エドワーズを起用し、2001年にリリースされた。ダフト・パンクと松本零士のフィルムプロジェクトである「Interstella 5555」でも使用されたこともあり、日本でも知名度の高い1曲だ。DJを始めたばかりのTAARは、「カットインカットインで、2manydjs大好きって感じのスタイル」と言うように、これまた当時爆発的な人気を誇っていたアーティストの影響があったようで、やはり様々なプロセスを辿り、屈指のオリジナリティを獲得していったことがわかる。

CHOICE 3
もうすぐ梅雨がやってくる、じめじめどよーんとした曲
yahyel “Midnight Run”

「地球の水が循環している現象が一番目に見えやすいのが“雨”だと思うんです。この曲には、そういった湿度と生命力があります。先日WOMBで初めてライブを観たんですが、映像や生ドラムと打ち込み音が“ひとつの音の塊”になって襲ってくる感覚がありました。個人的に湿度が高い曲が好きなんです。リバービーだったり、奥行きだったり…」

とても詩情ある発言で、選曲理由を説明してくれた。こういう美しい理由があるだけで、楽曲の聴こえ方がガラッと変わるので不思議だ。yahyelもTAAR同様に“次世代のTOKYO”を象徴する3人組バンド。メンバーそれぞれが海外在住経験があり、その音楽は“国境を感じさせない無国籍”の雰囲気が漂う。実際に初めてこの曲を聴いた人は、日本人アーティストだとは思わなかったのではないだろうか。

CHOICE 4
TAARが考えたお題!湿気が残っていて夕立が過ぎた後に似合う曲
HONNE“Warm On A Cold Night”

「僕は曲を聴く時に、どんな画が見えるか、どんな画が見えるか、という点に注目するんですが、この曲は段々と温度が下がって行く前…夜に向かっていくような時間経過が好きなんです。雨があがって、夜に向かっていく。雨が上がった後だから、空気が綺麗になっていて、ゆっくりと立ちのぼる土やアスファルトの匂い…そんなイメージがあります」

<CHOICE3>と同様に、まるで彼の心象風景を覗き込めるような発言だが、“湿気=暗い”というイメージではなく、雨という自然現象から地球、宇宙までを捉えた壮大かつ繊細なイメージで音を捉えている。言葉で自らの音楽作品を語ることが少ないアーティストだからこそ、こういった発言は大きく人の心を打つ。

CHOICE 5
同世代のライバルの曲
YOSA“夜明け前”

「YOSAくんは、優れたダンスミュージックのクリエイターであり、いいDJなんです。特にこういうテイストの曲を作る時って、リスナーとの距離感を大切にしないと、メッセージが届かないと思うんです。その距離感の取り方が上手くて、等身大なんだけど、さらに広がりも持っていて、『すげえな』って思いますね」/span>

YOSAは、TAARの相棒とも言えるアーティストで、同学年であり、イベント『MODERNDISCO』をともに開催。東京のシーンを担っている若手アーティストたちは、独自の価値観と哲学を保持しながらも、非常にフラットな思考があり、それゆえに柔軟性のある斬新な音楽を生み出しているが、本作はまさにその好例。シンガーにカルト的な人気を誇るローファイ女子、ZOMBIE-CHANGを起用。さらにラッパーのSALUも参加するという異色の組み合わせ。サウンドにはどこか歌謡曲の切なさが漂い、深みのある音像を描き出している。

CHOICE 6
近頃のTAARはこんな感じ!最近手掛けた作品
YOSA“夜明け前(TAAR REMIX)”

「先ほどのYOSA『夜明け前』の、僕のリミックスですね。
原曲の雰囲気、意図、意思を壊さないように、「TAARというアンプを通して鳴らすとこうなるよ」という曲ですね。月が少しずつ消えていくというか、地球の外から見た夜明け前をイメージしました。そして、僕とYOSAの2人がやっているパーティが、SOUND MUSEUM VISIONでやっている『MODERNDISCO』です。方向性としては、メロディやコードやBPMでオリジナリティを出せればいいな、と思っています」

2問連続で同じ曲がセレクトされるのはRDMS史上初のこと。しかし、DJ的観点から見ても、楽曲の相違点がくっきりと理解できるのがうれしい答えとなった。TAARのリミックスは、彼の持ち味や世界観が十二分に発揮された、スペーシーな手触り。ノスタルジーや哀愁が漂う原曲とはまたひと味違い、モチーフは“地球の外から見た夜明け前”。あなたはどちらがお好み?

TAARの世界観が満載。深く、ロマンティックなセレクトが多く、これまでのゲストとは一線を画する内容となった。特に<CHOICE3>以降の選曲とその理由は秀逸。雨、湿気、夜明けなど日常的な現象に対して、強いイメージを想起させる言葉の数々と、それと違わぬ選曲された楽曲の内容。音楽家であり、詩人。そんな一面を見せてくれた。

OTHER ARTIST
続けて読みたい! あなたにオススメの記事