元ネタはこの人に聞け!!DJ CELORYの登場

毎週迎える全52組のゲストDJ/アーティストが選曲したプレイリストとともに、その“アーティスト像の裏側”= “BEHIND THE MIX”を探っていく『RDMS powered by SMIRNOFF』。

ゲストの選曲から導き出される、バックグラウンド、歴史、価値観、哲学に迫る!

第50回目のゲストは、Mr. BEATS a.k.a.DJ CELORYが登場! 日本のヒップホップ黎明期より活躍するSOUL SCREAMのメンバー(プロデューサー&DJ)として、シーンの最前線に立ち続ける。DJデビューは1993年。現在に至るまで国内外問わずプロデュースやリミックスを手がけ、ミックスCDのカタログも膨大。クラブプレイにも重きを置き、毎週第4土曜日に渋谷LOUNGE NEOで開催されている「BON-VOYAGE」は今年で13周年!ヒップホップシーンの屋台骨的存在でありながら、常にフレッシュなトレンドを生み出し、高い支持を獲得しているDJ CELORY。そのバックグラウンドに迫る!

CHOICE 1
今も昔も自分にとって大切な、永遠の名曲
Pete Rock & C.L. Smooth“They Reminisce Over You (T.R.O.Y)”

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They Reminisce Over You (T.R.O.Y)
Pete Rock & C.L. Smooth

ジャンル: ヒップホップ/ラップ, ミュージック, ラップ, ヒップホップ, オルタナティブ・ラップ, イースト・コースト・ ラップ, R&B/ソウル

「高校2年生の頃、ちょうどアナログを集め始めたときにリリースされた曲です。ビースティ・ボーイズやノーティ・バイ・ネイチャー、ハウス・オブ・ペインとかを聴きながら、ヒップホップに傾倒していった時代でした。情報がない時代だから、雑誌だったり、レコード屋やクラブなど外へ出て情報を集めてましたね」

1992年にリリースされたピート・ロック&C.L.スムースの歴史的名曲。同時期に活躍し、盟友でもあったヒップホップ・ユニット:ヘヴィ・D&ザ・ボーイズのトラブル・T・ロイへの追悼曲。印象的なホーンとベースラインは、トム・スコット「Today」が元ネタ。サンプリング美学、緩やかで淀みのないフロウなど、全てにおいて隙がなく完成度は別格。クラシック中のクラシックと言える名曲だ。

CHOICE 2
このビートにはヤラれた!と初めて思った曲
Gang Starr“The ? Remainz”

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The ? Remainz
Gang Starr

ジャンル: ヒップホップ/ラップ, ミュージック, イースト・コースト・ ラップ, ヒップホップ, ロック

「1994年リリースの曲で、発売と同時にアナログを2枚買いしましたね。このときはレコードを集めるのに必死で、まだトラックメイクはしていない時代です。DJプレミアのトラックメイキングに変化があった頃で、それまでは元ネタのワンループ使いが多かったんですが、チョップしてフリップして、元ネタに新しいグルーヴを生み出していました。原曲は、ボブ・ジェームスの『Look-Alike』。元ネタを組み換えちゃっていて、サンプリングアートとして衝撃を受けましたね。プロダクションの構造に興味を持ち始めて、トラックメイク、ビートメイクをするようになるきっかけになった曲です」

数々の斬新なビートメイクでその名を馳せたDJプレミア。数多あるワークスの中でも多くの後進たちに多大な影響を与えたのが、この「The ? Remainz」だ。革新的な手法でトラックメイク/ビートメイクの次元をひとつ先へ進める役割を果たした重要作。当時アルバムには未収録だったが、アナログが発売されると人気に火が付いた。DJ CELORYも発売と同時に2枚買いしたと言っており、やはり当時から自らの足を使って最新の情報をゲットしていたことが分かる。

CHOICE 3
変態ビートの曲
Kanye West“Famous feat. Rihanna & Swizz Beatz”

「シスター・ナンシーの『BAM BAM』という、レゲエの往年の名曲を元ネタに使っているんですが、原曲のメロディとはかけ離れた使い方をしてるんです。大ネタではあるんですけど、こういう斬新な使い方をしてるのは僕の中では初めてで、ヤラれましたね。厳密に言うと、オリジナルのメロディライン以外の音程が入っていて、すごく新しく聴こえるんです」

今年2月にリリースされたカニエ・ウエストの最新アルバム「The Life of Pablo」収録された曲。DJ CELORYの美学が伝わるような、3曲連続でサンプリング使いに言及した選曲となった。元ネタは1982年リリースのもので、このような知識があるとないでは、楽曲の捉え方もまた変化する。DJ CELORYは、“少しだけ音程やコードを変えるだけでここまで聴こえ方が変わる”というプロデューサーらしい指摘を入れつつ、変態的なビート作りは“自分らしさ”“トレンド”など多様な要素が絡んでくるので、なかなか難しいとも発言していた。

CHOICE 4
HIPHOPの未来を感じる曲
Chance The Rapper“Angels feat. Saba”

「チャンス・ザ・ラッパーは、トレンドを抑えてはいるんですけど、すごく音楽的に深い部分がある。彼のソロもそうなんですが、ダニー・トランペット&ザ・ソーシャル・エクスペリメントも最高。懐かしさと新しさがすごく上手く融合していて、昔から音楽を聴いている人も新しい人も、すーっと聴ける。いまの若いクリエイターへのアドバイスとしては、時代を捉える高いアンテナを持ちつつ、時代を越えてキープできるオリジナリティを確立してほしいですね」

1993年生まれのチャンス・ザ・ラッパーは、現在23歳。2012年に発表したミックステープ「10 days」が話題となり、翌年の「Acid Rain」が各音楽媒体で絶賛を受けた。さらに2015年には、ダニー・トランペット&ザ・ソーシャル・エクスペリメント名義で「Surf」を無料でリリース。本作には、エリカ・バドゥ、ジャネール・モネイ、バスタ・ライムス、ビッグ・ショーンなど豪華な面々が参加。次代を担う気鋭アーティストであることは間違いないのだが、そのサウンドにはソウルやジャズ、ブルースなど古典的な要素をフレッシュに生まれ変わらせている部分もあり、イメージは“温故知新”。ソロ名義での最新ミックステープも発表したばかりで、いまもっとも注目を集めているアーティストのひとりだ。

CHOICE 5
この夏に聴きたいレゲエ曲
Da’Ville feat. Sean Paul“Always on My Mind”

「2007年の曲ですが、すごく好きで毎年聴きたくなります。クラブでもよくプレイされるので知っている人も多いと思います。すごくメロウなんですけど、パワーもあって…。自分のプレイでは、遅い時間のハッピータイムにかけることが多いです」

透明感のある美しいボーカルで人気が高いシンガー、ダヴィル。「All My Life」「In Heaven」(いずれもカバー曲)などの大ヒットで知られる。本作も彼の代表曲のひとつ。やはりボーカルが非常に特徴的で、日本人にも馴染みやすいメロディもあいまって、レゲエという枠にとらわれず日本国内でも人気が高い。緩やかで温かみのあるサウンドは、野外のサンセットやクラブの朝方にプレイされるとロマンチックなムードを演出できそうだ。

CHOICE 6
近頃のDJ CELORYはこんな感じ!最近DJでよくかける曲
Migos“Look At My Dab”

「MVを観てもらえれば分かるんですが、踊りやポージングの振りがあって…戦隊モノのポーズみたいな。お客さんが踊れるので、ピークタイムにかけることが多いですね」

この曲でおなじみのポーズ。仮面ライダーの「変身!」のポーズで脱力した感じ(?)とでも表現すればよいのだろうか。百聞は一見にしかず、まずはMVをチェックしていただきたい。そもそもタイトルにある“Dab”は音楽ジャンルの“ダブ”ではなく、ヒップホップダンスの一種として、2015年頃に流行したもの。ミゴスの「Look at My Dab」もその流行を証明するかのようなMVになっており、このポーズ/ダンスはその後も全米中に浸透。今年は日本でも定着しつつあり、知っておいて損はないトレンドのひとつと言えるだろう。

ヒップホッププロデューサーだけあって、温故知新なサンプリングカルチャーから最新のトレンドまで、広く深く掘り下げてくれたDJ CELORY。元ネタの紹介や、サンプリングの手法など、かなり詳しく言及してくれた。また最新のヒップホップカルチャーである“ダブ”もぜひチェックしてもらいたい。新旧のヒップホップシーンの真髄に迫るアカデミックな内容となった今回。選曲を振り返りながら、それらの元ネタを掘ってみたり、より深い楽しみ方をしてみるのも良いだろう。

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